mainT 短編・中編

□tear's coffee
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「え??今、なんて??」
 
「だから、りみの旦那はDV、つまりDomestic Violence、家庭内暴力を振るっているらしい。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺は、学生の時からりみのことが好きだった。
りみはずっと男テニでマネージャーをしてて、俺は部員の中では1番仲が良かったと思う。
 
いつも試合が終われば お疲れ様 って笑顔でドリンクをくれた。
 
俺がイタズラとかしても「もう、英二くんったら。」ってちょっと困った顔をして笑うんだ。
 
 
 
 
いつも優しく微笑んでくれるりみが、大好きだった。
 
 
 
 
 
 
そのことは、みんなにはバレバレだったみたいで、よく不二や桃、乾にまで、早く告白しろと言われていた。
 
でも、同じ部活だったし、もし振られたら気まずくなってしまうと思ったし
 
俺はてっきりりみも俺らと一緒の大学、青学に進学するのかと思ってて、
まだ、時間はあると思っていて
告白できずにいた。
 
 
でも、大学にはりみの姿は見当たらなくて、連絡もつかなくなってて
りみの家に行ってみたけど
既に引っ越していた。
 
ものすごく、ショックだった。
 
 
 
 
 
 
りみのことを忘れようと
他の女の子と付き合っていた時期もあったけど、
やっぱり、あの笑顔に勝るものはなくて。
 
ずっと忘れられないでいた。
 
 
 
 
だけど社会人になって、凄まじい忙しさのおかげで、だんだんりみのことを思い出すことも減っていった。
 
でも、残業が続いたときなんかは、りみの笑顔が見たくなる。
 
まだ、こんなにも好きなんだ、と思わざるを得ない。
 
 
 
今年で入社して2年目。
まだまだ新人だけれども、多少仕事には慣れた。
ちょっとは余裕も出てきたと思う。
 
 
りみは、今どこで、何をしてるのかなぁー
なんて思っていた時に突然、乾から連絡があった。
 
久しぶりに、タカさんのところにでも行こう、とのこと。
 
大石とか、他の人も誘ったけど、急だったし、結局、乾と2人。
タカさんもいるけど。
 
 
 
そして、信じられない話を聞いた。
 
 
 
りみは、家の事情で急に引っ越さなくてはいけなくなって、高校の卒業式が終わってからスグ
神奈川に引っ越してしまった。
 
そしてりみは向こうの大学を出てすぐに
結婚したらしい。
 
 
それだけでも信じられないのに、更に信じられないことに
 
 
 
 
 
りみの旦那はDVだという。
 
 
 
 
 
 
あまりにも、酷だ。
 
言葉がでない。
久しぶりに食べたタカさんのお寿司の味も、
わさびの刺激しか感じない。鼻の、目の奥がつーん、とする。
 
 
 
  
 
「だから、あの時告白しろと言っていたのに。」
そう言われている気がした。
 
 
 
  
 

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