恋・愛


□一番の方法は
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ひっく!!


困ったなあ…


今日は西園寺にとって大事なパーティーなのに…

とっくに準備が整ったみんなはリビングで私を待っている。


出発時間まであと10分。

しゃっくりしたままみんなに顔なんて合わせられないし、パーティーに参加するなんて恥知らずだよ!!


うろうろと部屋の中を歩き回っていると、コンコンと優しくドアがノックされた。



「お嬢様、ミドウでございます。入ってもよろしいでしょうか」

「どう…ひっく!!」



どうぞーっと返事するはずだったのに意味の分からない返事がでてしまった。

「お嬢様?よろしいでしょうか」

また変な返事が出てしまわないようにドアをそっと開けてどうぞ、とジェスチャーした。


「可愛らしいしゃっくりが聞こえて来たのですが」


にこりと笑う御堂さん。

恥ずかしすぎて前を向けない。


「そうなの…ひっく、朝から止まらなっひっく」

慌てて胸をどんどんと叩いてもしゃっくりは収まらない。


ふふ、と御堂さんに笑われてしまった。


「うう…」

「緊張しているのでしょうか」


「お願いします!しゃっくり止めるの…ひっく、手伝って下さっ…ひっく!!」

しゃっくりを止めて欲しいなんて少し無茶したお願いだ。

それにご令嬢のお願いに似つかわしくない!


だけど御堂さんはそんなお願いにも微笑みながら「喜んで」と返してくれた。


―――


出発時間まであと5分。


一階から賑やかな声が聞こえて来た。


「おい!!まだかよっ」

「カナメくんも大丈夫ですか?」

「はい、そろそろ参りますので皆様は用意している車にお乗り下さい!」


少し大きな声で御堂さんが言うと、みんなの声は遠ざかって行った。


そう、この時もまだ私のしゃっくりは止まっていなかったのだ。


御堂さんがいきなり「わっ!」と言って驚かせたり、用意してくれた水を一気飲みしたり…

「ひっく、ご、ごめんなさい」

「いいえ、謝らないで下さい」

声こそ優しいけど御堂さんの顔は深刻そうだ。

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