SSS

□私の弱点
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見えてますよ、と可笑しくて笑ってしまいそうなのを堪えながら言えば、物陰からひょこっと顔をのぞかせる御堂さん。
何か後ろに隠してるみたい…。

「後ろのは何ですか?」「えっ、な、何の事でしょう」

と分かりやすい誤魔化し言葉を言いつつも私が後ろを覗き込もうとすればするほど、御堂さんは不自然に背中の方を隠す。
じい、と後ろに隠してるのを見せろと言わんばかりに覗き込む仕草を続ければ「秘密です」とそれをポケットの中にしまい込んでしまった。

ぼこりと異常に膨らんだ執事服のポケットを凝視し続ける私に、御堂さんは焦りながらポケットを隠す様に背を向ける。

そんなに見られたらイケナイ物なんですか?、とニヤついた顔で問い詰めれば「ち、違います!」と頬を朱に染める御堂さんをもっとかまってしまいたくなる。

じゃあ良いじゃないですか!とにこやかに御堂さんのポケットに手を突っ込めば、ガシリとその手が掴まれた。

「まだ、秘密です」

まだ、という言葉を不思議に思った私は首を傾げる。

「じゃあ、いつ?」

「秘密です」

えええ、と不満気な声を漏らす私に困った様に微笑みかけてから、優しくなだめるようにキスをしてきた。

「これで、勘弁して下さい……!」

そう言ってぺこ、と頭を下げたポケットから拍子に零れ落ちたそれにまた慌て出すあなた。




弱点

(それはあなたの優しさの中に秘められた可愛さ。)



結局これが私の好きなクマのぬいぐるみのペアキーホルダーだったなんて、あなたはどこまで可愛いことをすれば気が済むんですか?





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