SSS

□油断大敵
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ただいま、といつもの様に帰りを待ってくれる人こそいない自室にそう呟けば帰宅完了。


今日も誠心誠意働きました。


そして暗い室内を進み、ベッドへと倒れ込む。


そっと目を瞑り手の甲を閉じた目の上に軽く当てれば、執務の為にパソコンのディスプレイを長時間見ていたせいか、眼球がチカチカと痛んだ。


ふう、と疲れを吐き出すかの様に息をつくと、


目が合った。


何故、目があるんだろうか?


…………。


「御堂さあんっ!」


「っ!?」


白い塊にがばりと覆い被さられ身動きがとれない。

というか、これは果たして現実なのでしょうか。

「何故、お嬢様がここにいらっしゃるのでしょうか。しかもTシャツ一枚で」

あくまでもにこやかに言い放たれた私の言葉などまるで聞こえていないかの様にお嬢様は胸元に跨って来た。


「寒いっ!御堂さんあっためて下さっ……むぐむぐ」


「お静かに!……それと質問の応えになっておりませんよ」


「む、だって御堂さん最近私に構ってくれないんだもん」


「それは……申し訳ないと思ってますが、しかしその様な格好で男の部屋に訪れるのは如何かと思います……」


私に跨るお嬢様のTシャツから、ちらりと覗く白い太もも。

これを見たのが他の男共だったら……ああ、考えたくもない!
などと考えていれば、不意に胸の上の重みがなくなった。


「………、こうすれば嫌でも構ってくれるかなって思ったから……ごめんなさい」

そう言うなりベッドの端で縮こまってしまったお嬢様。


そうだ、最近は社交パーティーやら人手が足りず山積みに溜まった書類の整頓やらでまともに会話さえしていなかった事に今更気付いた。


「申し訳ございません、執務の事で頭が一杯になっていた私がいけなかったのに。お嬢様……こんな私を許して頂けますでしょうか?」


そう囁きつつ抱き締めれば、お嬢様の沈んだ表情がぱっと華開くようにほころぶ。

その頬を包み、そっとキスを落とせば急に大人しくなってしまった。


「ああもう、御堂さんっ!!」


かと思いきや、また押し倒されて襲われてしまうとは……。







(気を抜く事こそ許されませんが、密かに幸せを感じるのは事実なのです)



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