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□Grays' high school *
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「っしゃぁぁぁああ!!終わったぁぁぁぁあああ!!!」
「長い戦いだったな…」
「ほーらユーくんうるさいよ?これじゃ号令ができないじゃないか」
「いや明らかにオレよりバカウサギのがうるせェだろ!?」
「もー言い訳しないの。マーくんの冷静さを見習いなさい」
「てかその呼び方…」
「ヒィヤッホォォォォ!!あとは冬休みを待つだけさー!!!」
「ああもうテメエうっせェっつってんだよ!!」
「はいはい、それじゃあみんな気を付けて。来週からも学校はあるから忘れないように。では号令」
「ヒィヤッホ…あ、オレだったさ。きりーつ!きょーつけー!れいっ!」

「「「さようならー!」」」
「はい、さようならーん☆」


はろー!はろー!
マイクテスマイクテス!
あーあーこれ聞こえてる?大丈夫?

ゴホン!

いつもより五割増し元気のいいクラスメイトの挨拶にどこか清々しさすら覚えながら、オレは満面の笑みで自分のエナメルを肩に掛けた。うんうんうんっ。みんなの声が自然と弾んじゃうのだってよーく分かるさ。オレも序盤からテンション振り切れててマジサーセン。
だってだってだって!今日はテスト最終日っ。あとはクリスマスにお正月、イベント盛り沢山の冬休みを待つばかりで。あ、ティエドール先生が言う通り来週からちょっくらテス返期間があるんだけど、んなもんオレらの視界からはアウトオブサイト。
結果?赤点?今さら気にしたってそんなの後の祭りさー!

「なーユウ!」
「ええい鬱陶しいッ!」

肩に回したオレの腕をしかめっ面で跳ね除けたのはクラスで特に仲のいい(とオレは思ってる)神田ユウ。
みんなが一時的に持ち帰っていた普段なら絶対にカバンに入れることのない山のような教科書を実に朗らかな表情でロッカーにぶち込んでるっていうのに。ま、笑顔のユウなんて気味悪くて仕方がねェけど。

「そうさユウ!今日一緒にカラオケ行かね?」
「誰が行くか。今日はコンビニで蕎麦買って、帰って食って寝る」
「蕎麦!?ユウがテスト明けにやりたいこと蕎麦!?せめてエッチなビデオ見てから寝ろよ」
「何でだよ!テメエと一緒にすんじゃねェ!!」
「ちぇー。じゃあアレン誘って行くからいいさー」

ぴくり、とその言葉に反応するユウの眉毛にあ、やっちまったとちょっぴり後悔。ああ、黙ってアレンと放課後デートすれば良かったのにオレの馬鹿っ。

アレンってのはオレらの二個下の後輩で、かわいい。いやマジで。この灰色高校表向きのアイドルは学園長妹、二年生のリナリー・リーちゃんなんだけど。最近密かに人気を集めているのが転校生のアレン・ウォーカー君だった。

「…行ってやろう」
「いや、別に間に合ってるさ!」
「誘ったのはテメエだろが…っ」
「たった今間に合ったって言うか…!」
「……行ってやるつってんだよ」
「わ、分かった!分かったから胸ぐら掴み上げるなお゛え…っ!!」

で、オレらも例外なく、初めて見たその日にストライク。お互い寮生活なのもあって、つか入りたてで右も左も分からないアレンにオレらが積極的に世話を焼きに行った甲斐あって、今や親しい仲になっていた。

「さ、三人で行かせていただきます…」
「ああ」

黒のボストンバックを肩にさげて颯爽と廊下に出て行くユウの後ろ姿を見てこっそり笑う。アイツのことは昔っからよく知ってっけど、アレンと出会ってからどこかつまらなそう顔をしていることが減った気がする。これは友人としてとても喜ばしいことさ。

「おい待てよユウー!」

ちなみにオレもユウも、アレンとちゅーしたいとかそんなことは思ってないのでそこんとこヨロシク。あくまで何かと構いたくなるかわいい後輩、そんな認識。

「なー待てって!」
「暑苦しいんだよテメエ」
「うわひでーっ!てかそんな仏頂面で一年の階行ったらゼッテー怖がられるさ」
「…ほっとけ」

へいへーいと返事をしてアレンの教室へと向かう。さてさて楽しい高校生活も残りわずか。全力で楽しむっきゃないさー!


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