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□Here puss! *
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どうもこんちは。期待のブックマン後継者ラビ、ピッチピチの18歳っす。

ただ今オレは教団の廊下を全力疾走中。下ろした髪が振り乱れるのも訝しげに向けられる通行人の視線も、今はこれっぽっちも気にならなかった。
オレの頭を占めるのはただひとつ。
たまたま通りかかった司令室の前で耳にした出来事にあった。

珍しくリナリーの大声が聞こえてオレはぴたりと足を止めた。どうやら司令室の扉が中途半端に開いていてそこから声が漏れているらしい。興味本意で覗いてみると中では椅子の上で縮こまっているコムイをリナリー叱りつけていた。
また良からぬ発明品でも作り出したのかと苦笑してから、面倒事に巻き込まれる前に立ち去ろうと踵を返した時だった。

『本当にアレン君は大丈夫なんでしょうね!?』

アレン、その言葉に反応する身体。アレンに、オレの愛しいアレンに何かあったというのか。もしや任務中に大怪我…いや、空気から察するに絶対そこの変人メガネが何かやらかした違いねェさ。

『ちょっとそこのお二人さーん』
『…!ラビ!』

振り返るリナリー。あからさまに不味い、という顔をするコムイ。どうやら予想的中みたいさ。

『詳しい話、聞かせてほしいんだケド』

にっこりと微笑んでそう口にすると、コムイは数秒笑顔のまま固まったあと、怒らない?と首を傾げた。茶目っ気たっぷりの小首傾げに盛大にイラッときたのは一先ず置いといて頷いてやる。

その内容に、オレ驚愕。

光の速さで司令室を飛び出し、アレンがいるという自室へ向かうことになった。

そして今に至る。

おおっと、勢い余って危うく通り越すとこだったさ。荒い息もそのままにオレはアレンの部屋のドアノブを掴んでノックもなしに思い切り押し開けた。

「アレン!!」
「……へ?ら、び…?」

そこにはブランケットにくるまりベッドの上で座り込むアレンがいた。その瞳はうっすらと涙に濡れていて、その髪からは白い白い――耳が。

「ぇええ!!?」

聞いてはいたものの実際見てみるとやはり驚く。ふわふわとした毛が生えた三角形のそれはどこからどう見ても人間のものではなかった。

「猫…?」

ドアを閉めながらぽつりと呟くとアレンがこくりと頷いた。
取りあえずコムイに聞いてここに来たことを説明してオレもベッドに腰かける。

「ラビっ……!僕…僕……っ」
「あーはいはい。大丈夫さアレン。コムイも体に影響はないって言ってたし」

異形の姿になったのが余程ショックだったのか今にも泣き出しそうなアレン。そりゃいきなり自分の頭に得体の知れない耳が生えれば驚くさぁ。よく見ると耳と同じ白い尻尾までちゃんと生えている。ワイシャツとズボンの間から伸びるそれは悲し気に垂れ下がっていた。

「こんな姿っ……」
「アレン…そんなに落ち込むなさ」
「昔から左腕のせいで化け物扱いされてきましたし今更耳と尻尾が増えたくらいどうってことないんですよ!だだせめて角とかっ…」

こんな姿じゃアクマを破壊しても人を助けてもエクソシストの威厳も何もあったもんじゃないじゃないですか…!ともはや泣いているのか怒っているのか分からないアレンにそこっ…!?とツッコミを入れるのはやめておいた。

コムイの話によると一時的に人を獣化させる薬をアレンが誤って食べてしまったらしい。
本来の標的は勿論リナリーで。可愛い妹に使う前に安全性を試そうと、クッキーに薬を混ぜて適当なやつに食わせる予定だったらしい。けれど配るより先に司令室の机に置いてあったそれをコムイの留守中に報告書を提出しに来たアレンが食べてしまったというわけだ。戻ってきたコムイは猫になったアレンと遭遇してびっくり仰天。だからあれほど拾ったものを食べちゃいけませんってオレ言ってたさ!

「ううっ…このままじゃ恥ずかしくてどこにも行けませんよっ……」
「大丈夫大丈夫」

ぽんぽんと優しく頭を撫でてやるとピクッと尻尾が反応を示す。耳の触り心地も最高に良くて…可愛い。可愛すぎる。数世紀に渡るブックマンの記録の中にもこんなに可愛い生物は存在しないと断言できる。無意識に緩む口元を乱心状態のアレンの手前必死で引き締める。

「神田にはバカにされるしっ……もういやです……っ」
「ユウに見られたんさ!?」

それは聞き捨てならないさっ。こんな可愛い子、一度外に出したら飢えた狼共の餌食になるに決まってるさ。
幸いアレンは外に出たがらないからと人知れずホッと胸を撫で下ろしていたのも束の間、よりにもよってあいつに見られていたとは。

「造り物か?とか言われて引っ張られるしっ……普通に痛いんですよ…っ」

不貞腐れるアレン。コムイに事情を聞いて、効果が切れるまで自室で大人しくしていようと部屋に戻る途中、不幸にも廊下でばったり出くわしてしまったらしい。そんな趣味があったのかと罵られるわ、お似合いだなと鼻で笑われるわ災難だったと零す。

アレンが不機嫌な最大の理由はこれか、と妙に合点が行った。いつものアレンならまだしも、この姿じゃユウにあれやこれやと言い返しても効果はないに等しかっただろう。

「他には何もされなかったさ?」
「ええ、特には…」
「よし」

いや別によくはないけど。白猫アレンをオレより先に…ちなみにここスゴく重要。

「あ」

胸にわだかまる黒い感情に釈然としないでいると、ふとあることを思い出してポケットの中を探る。
出てきたのは司令室を飛び出す直前、コムイに渡された物だった。

ある植物の枝の一部。葉は丸みを帯びていて白くて小さな花がいくつか咲いていた。その名も、マタタビ。

できれば見た目だけじゃなくて感覚器官の方も変化が現れているか知りたいから、と渡されたのだ。あの時はテンパっていてうやむやに返事をして押し付けられるまま受け取ってしまった。
思えばこんな状況になって尚、自分の研究成果に興味津々な辺りさすがというかなんというか。

「アーレーン」
「ふぇ?…はっくしゅん!!」

試しにほいっと鼻にマタタビを近づけてみると可愛らしいくしゃみをするアレン。どうやら効果アリのようさ。

「マタタビ…?」
「そ、今のアレンにはいい匂いかなと思って」
「ん……いい、匂い…」

いじけていたアレンの表情が柔らかいものになって、興味津々といった様子でこちらに這い寄って来る。ぺたりとベッドに座って、終いにはオレの手を持ってマタタビに鼻を擦り付ける。

「…ふっ…ん、にゃ…ぁ……」
「ッ…」

まずいまずいまずい。ちょっと待ってオレの理性。ここまで効果絶大だとは思わなかった。

「アレンっ……ちょっとっ」
「んっ…ぁ……」

次第に上気してゆく白い肌。添えられた指は細くしなやかで、とても共に戦場で戦う一人の兵士とは思えなかった。さっきからアレンの熱く甘い吐息がオレの手にかかって――ああ、もう。

さよならオレの理性。

「んっ……?」

マタタビを手放してそっとアレンの胸を押し倒す。酔いが回ったアレンはされるがままぽすり、と力なくベッドに倒れた。とろんとした銀灰の瞳が不思議そうにオレを見つめる。

「アレン…しよ?」

身を屈めてふわふわの白い耳に優しく囁く。すると突然、何が可笑しいのかアレンがクスクスと笑い出した。ああもうこれ、完っ全に酔っ払ってるさ。
ス、と服の中に手を差し入れてもアレンは全く抵抗しようとしない。オレにとってはマジ好都合。手早く上をはだけさせ、その胸に舌を沿わせた。舐め上げる度にビクつく腰に合わせて少しずつ下も脱がせていく。

「ぁ…ひゃ……ぁっ…」

外気に触れたそれを握り込んでやると手足を縮こませて、はっと息を詰めるアレン。緩く手を動かす度に耳もぴくぴくと反応を示した。

「気持ちいい?」
「ぁ、ぁっ…い……きもち…い…っ」

熱っぽく漏らされた言葉に自然と笑みが深くなる。普段のアレンなら恥じらって絶対に言わないセリフも今のアレンは簡単に口にした。

「一回イっとくさ」

先走りを零し始めたそれを擦り上げてやるとドクリと跳ねて簡単に達する。白濁に濡れた手を躊躇なく後ろに挿し入れた。
マタタビの香りに酔いしれ、絶頂の余韻にぐったりとするアレンの足を割り開くのは簡単。いつもより敏感に反応するアレンにどうしよもなく唆られた。

「…ぁ…やっ……」
「大丈夫、怖くないさ」

押し寄せる快楽に戸惑うアレンの頭を優しく撫でて、その温かな耳にも擽るように指先を沿わす。少しばかり力が抜けたのを見計らって一気に指を三本に増やした。

「ひ…ッ…ぁ…あっ…ふゃ……っ」

一瞬苦しそうに顔を歪めはしたものの、すぐに上がる声は嬌声に変わる。アレンはオレしか知らない。初めても、全てを教えたのも、自分だ。いい場所は知り尽くしている。

「――?」

ふと視界の端に白く揺らめくそれを捉えて顔を上げる。ゆらゆらと悩ましげに動くそれは、アレンのお尻から生えた尻尾だった。内部に刺激を与える度に尻尾も悶えるように揺れ動く。

「ぁ…はっ…ラ…ビ……?」

脳裏に浮かんだ考えに怪しく口元を吊り上げるとアレンが一瞬不安そうな顔をする。

指は抜かないままもう片方の手で柔らかな尻尾を捕まえ下から上に撫で上げるとアレンの肩がビクビクと震えた。そういえば猫は尻尾が敏感だったっけか、と思いながら白い足の下を通して手繰り寄せた。そして引き抜いた指を再び二本、少しだけそこに食い込ませ左右に割り開く。可愛らしくヒクつくそこに尻尾の先端を宛がったところでアレンの顔が青ざめた。

「なっ…ぁ…らび…ッ…待っ……」

オレの行動を理解したアレンが必死に抵抗するけれど、そんな力の入らない身体じゃ無意味さ。逃がすつもりもさらさらない。

「正解」

満面の笑みで宣告してから、白く長いそれをアレンの後孔に押し込んでいく。一際大きな声を上がり、薄いの身体が大きくしなった。仰け反り、晒け出された首筋が艶かしい。

「ァあッ…ゃっ…やあ…取って…ゃぁ…ッ…」

伸びてくるアレンの手を制しながらわざとイイところに当たるようにして手を離す。そのまま覆い被さるようにして邪魔な手をベッドに縫い止めた。

「んんっ…あ…ッ…!に…ぁ……だめ…っ…」
「っ……」

いやいやとひっきりなしに首を振るアレン。どうにか快楽をやり過ごそうと踠く姿がたまらない。刺激に従順に反応し動く尻尾。その尻尾が内部をいたぶり、また新たな快楽を誘う。勝手に連鎖するそれらを止める術はアレンにはない。

「ひっ…ぁ…!にゃ…あっ…ァ…ッん」
「…ッすっげえ可愛い」

シーツに溶けてしまいそうな白い子猫。その瞳は熱に浮かされ切なげに生理的な涙を零す。乱れた吐息に、汗ばんだ肌、一つ一つの動きすら愛おしい。眼下の光景にどうしようもなく満たされる自分がいる。

グチュグチュと触れてもいないのに部屋には卑猥な音が響き渡る。恥ずかしさに堪え兼ねたアレンがギュッと目を瞑って溢れた大粒の涙が一筋、頬を伝った。
まるで自慰でも見ているかのような気分に陥ってもどかしい程に身体が疼く。

「こ、れ…ゃっ…ラビ……はっ…ぁ…」

重ね合わせた手から伝わる体温にすら煽られる。恋人のこんな姿を見て正気でいられるやつがいたらぜひともお目にかかってみたいものさね。

「ひ…ぁ……」

ズルリと尻尾を抜いて労るように額にキスを落とす。バカラビと可愛らしいお叱りを受けて苦笑した。どうやら酔いからは完全に覚めてしまっているらしい。

「…っいや…です……」
「オレのじゃないと?」
「…っ……」

てっきり全力で否定されると思っていたのに、かあっと赤面されて目を見開く。あーもうオレ知らね。犯罪的にかわいいアレンが悪いんさ。










「ッ…!あ…そこ…っ…や…ッん」
「ここだろっ……ッ全部知ってるさっ…」
「はっ……ぁ…あっ…そ、っ……ラビ…ッ…」

突き上げる度にアレンの耳が揺れる。幾度となく絶頂を迎えた身体は肩で荒々しい息を繰り返し、尻尾は力なく垂れ下がって限界が近いことを知らせていた。

「アレンッ……」
「んっ……アっ、ぁぁ…」

切なげに細められた目に見つめられる。アレンが本当に猫だったら首輪をして閉じ込めて、オレだけの世界で最高に甘やかして、オレなしでは生きれなくなるくらい毎日愛してあげるのに、なんて本気で考えていることがバレたらアレンはどんな顔をするだろう。

「……にゃあ」
「ん?アレン?」
「ラビが変な顔してたから…」
「なに可愛いことして気引こうとしてるんさ。…ちょっとな、アレンが本物の猫になったらどうしようかなと思ってさ」

縁起でもないこと言わないでください!とてっきり怒られるかと思いきやアレンは神妙な顔をして悩み出した。

「心配しなくても、その時はオレが責任持って飼ってやるさ」
「猫になってもエクソシストって続けられるんですかね」
「それは……」

猫になってもアレンはアレンみたいさ。アレンらしい、そう言って笑うと重要なことです!と今度こそ本当に怒られた。

「んっ……」

もう一度、柔らかな耳ごと頭を撫でて腕の中に抱き竦める。今日はこの手触りを楽しみながら眠ることにしよう。

いつもは迷惑極まりないコムイの発明品にも今回ばかりは感謝せざるを得ないようさ。起きたら報告にも行ってやろう。アレンに見つからないようにしなければ。


もちろん量産のお願いも忘れずに。



fin. 20110406

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