U

□My ideal line
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突き抜けるような青空と空よりも深いアジュール色の海が地平線で交差する。ここは地中海の楽園、麗しのコート・ダジュール。
任務にひと段落ついた昼下がり、海辺のカフェの鮮やかな緑のパラソルの下やって参りました出張アレンの会 in フランス!

輝くビーチに目を細めれば大きな麦わら帽子をかぶり白いワンピースを纏ったアレンがオレの名前を呼びながら天使の笑みを浮かべて振り向いてくる…ような気がする。妄想も捗るってもんさ。

「へー眼帯くんって意外と純情なのネ」
「だから何でお前がいるんさッ!?」

行き場のない戸惑いをぶつける様に机を叩いた。ユウと立ち寄った海辺のカフェ。薄っすらと頬を染めた店員のオネーさんに案内されたのは海が一望できる外のテラス。オレとユウは向かい合って座ってるだけで絵になるからな〜。こういった席に案内されるのはいつものことだった。

オレら的にはでけー声でアレンのあんなことやこんなことを話しても警察を呼ばれないような屋内の隅っこの席がいいんだけど、にこやかに案内されては仕方がない。適当に注文を頼んで、アレンに似合う水着について熱く議論を交わしていた時だった。


『いやだからアレンにパーカーは欠かせないって——』
『やあ!こんな所で会うなんて奇遇だね、いつぞやの眼帯くん。汽車で会って以来?…ってもこの姿じゃ分からないか』

頭上から降り注いだ低い声。顔を上げたが強い日差しのせいで男の顔は影になり見えなかった。

『は?あんた誰——』
『アレンって、あの少年のことだろ?綺麗な顔してたよな〜あれで男って詐欺にあったような気分だったよ』

どかっと遠慮なしに空いていた席に座ってきて陰に入った男の顔を初めて見る。見知らぬ相手であることは確かだったがそれより——。

『ノア!?』
『慌てない、慌てない。そっちの青年も殺気ヤバイよ?なに、千年公の用向きはもう終わった。サービス残業は趣味じゃねーの』
『…テメェノアに知り合いがいたのか?』
『いるわけねーさ!初対面だっての!!』
『まあまあ話を聞けよ。今青年たちと事を構えるつもりはねェーの。男なら決められた時間内にバシッと仕事を片付けるもんだろ?いや、青年たちがあまりにも面白そうな話してたからつい』

一般人に囲まれている手前、オレもユウも大袈裟に距離を取ることはしなかった。ただ腰を浮かせて武器に手を添え、ありとあらゆる最悪の状況を頭の中でシミュレーションし、その対処法を考えた。だがそんなものはある一言で一瞬にして無に帰る。

『オレ的には少年には白のビキニだな。フリルは外せない、だが派手すぎても少年には似合わない。気品溢れる上品なものがいいだろう。首の後ろを紐で結ぶタイプのものがいいな、夢が膨らむ。パーカーも愛らしいが、火照った身体にローションを塗る仕事を仰せつかりたいからあえて着させないのもアリだな』
『『それな』』

ガタリと息ぴったりでオレら二人はイスに座り直した。なんだこいつめっちゃ分かるやつさ。


こうしてオレ達は戦争のしがらみ全てを捨て聖母アレンの加護のもと意気投合した。


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