この腐った世界で
□第1話
1ページ/4ページ
ヨーロッパ支部のお偉い様に極東支部への移動を告げられたのは三日前
面倒な俺と離れることができて精々している、といった様子だった
そんなくだらないこと、別に俺は何とも思っちゃいないが…
そんなことを考えながらコートのフードを引っ張り、顔が隠れるくらい深く被った
俺は現在ヘリの中
ヨーロッパ支部とおさらばして、極東支部へと移動中だ
無心で窓の外を眺めていたが、同じような景色しか続かない
神に喰い荒らされ、荒廃した土地
景色に飽きて、自分の隣に目をやれば
そこには目を輝かせてはしゃぐ無邪気なガキ、キラがいる
一体何がそんなに面白いのか、大きな瞳を輝かせてヘリの窓に張り付くようにして荒廃した土地を見下ろす
このガキ1人を、俺が居なくなったヨーロッパ支部に置いておくわけにもいかず仕方なく一緒に連れてきた
それに、俺についてくると言って聞かなかったのだ
ガキ特有の駄々をこね出した時のウザさには正直イラッとしたが・・・
こんな俺に着いてくるなんて、とんだ物好きだなと思った
あまりに、はしゃいでウロウロするキラが鬱陶しくて
「大人しく座ってろ」と言えば、頬を膨らせながらも大人しく俺の言葉に従う
俺が窓に再び視線を戻せば、背後でキラが俺に向かって舌を出していたのは、見なかったことにしてやる
それからも、頬杖をついて退屈に窓の外を眺めていた
眼下に広がるのは
神に喰い荒らされた世界
この星の最上捕食者は、
今は人ではなく神
全く皮肉なもんだ
今まで自分たちが崇めてきた存在に、我々は喰い殺されるのだから