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□甘い菓子
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【それぞれの春】



ひたすら白い紙を見つめる。

「……クラス、変わっちゃったね」

先に口を開いたのは彼の方だった。
私はそれに、ため息で返す。

「そりゃ、文理選択が違うもの」

馬鹿で文系な彼はキッと私をにらんできた。

「なんで理系にしたんだよ!」

これから1年間使うことになる下駄箱の位置を確認して、革靴をしまう。

「じゃあ逆に言わせてもらうけど、」
「ん?」
「あんたこそ、どうして理系にしなかったのよ」

ギクリ、と彼の背中が固まった。

「お、俺だって理系に行きたかったけど……でも……」
「どうせ担任に理系に進んだら卒業どころか進級もできないって言われたんでしょ」
「ぎくっ」
「それくらい分かるっての」

呆れつつ階段を上る。
2年生は3、4階に移動するから、なんか新鮮。

「ううー、階も違うのか…」
「仕方ないでしょ」

2階では新入生たちがぎこちない制服の着方で緊張したようにお喋りをしていた。
大丈夫、これから慣れるから。
なんてエールを送る。

「理系か……うーん……理系……」
「何よもう、さっきからうるさいわよ」
「だって理系だぜ!」

それがなによ、と少し苛立って尋ねる

彼は真剣な顔をして答えた。

「男子ばっかじゃん!」

…………は?

「そんな中にお前をおいとくなんて……そいつらめっちゃ羨ましい!つーかムカつく!」

すれ違った人にちら見されるくらいの大声で叫んだ彼。

「私、つくづくあんたを馬鹿だと思ったわ」
「失礼な!」
「じゃ」

自分のクラスの前まで来てあっさりと手を振る。
……仕方ないなぁ。
たまにはデレてあげよう、うん。
私はくるりときびすを返した。

「今日の放課後」

彼の背に向けて言う。

「どっか遊び行く?」

振り返った彼は満面の笑みだった。
やっぱり馬鹿っぽい。
……普通にしてれば男前なのに。

「行く行く!超行く!」
「そ」

短く応えると、なぜかこちらに近付いてきて、

「ありがと」

私の前髪を指で優しく分けてそこの額にキスをした。

「ホームルーム終わったらすぐ迎えに来るから!」

さっきまでの落ち込みっぷりはどこへやら。
爽やかに階段を駆け上る後ろ姿に思わず笑みがこぼれた。





――――――――――――――

新学期早々いちゃついてるね!
リア充とか別にうらやましくねーし!



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