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□甘い菓子
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▽10/16
【Needless to say】



「ね」
「…………」
「ねぇ」
「…………」
「ねぇっ」
「…………ん?」

珍しく,朝の読書中の僕の元へやってきた彼女は,なんだかいつもと様子が違った。

「ねぇ」
「うん」
「ねぇ」
「……うん」
「ねぇ」
「…………うん?」

普段は口数が少ないのに,飽きずに同じ言葉を繰り返してくる。
こんなこと今までなかったから,なんと返せばいいのやら。
困った困った。
いや,別に,真っ直ぐ見つめられて照れてるわけじゃないけどさ。

しばらくして,

「………………」

彼女は俯いてしまった。

わ。やばい。
拗ねちゃった,かな。

「どうかした?」

返事はない。
僕はもう一度尋ねた。

「何かあったの?」

押し負けたように,彼女はゆっくりと左腕を伸ばした。


「……………………………カーディガン」


「え?」

――あぁ,うん。

なるほど。
オーケー,オーケー。

「似合ってるよ」

「ん」

感情があまり顔に現れない彼女だけど,それでも分かるくらい満足げに微笑んで,小さく頷いた。
僅かに頬も赤い。
どうやら,喜んでくれた模様。

「じゃ」
「え?」


それだけ言ってどこかへ行ってしまった。

……多分,ホントにカーディガンを見せたかっただけなんだろうなぁ。
だったら最初から(っていうか自分から)そう言えば良かったのに。

そしたら「似合ってる」だけじゃなくて「可愛い」とか「ベージュも見たいな」とかも言ったのに。
あ,でも,全部言い終わる前に怒られてたかも。


無口で,意思表示が少なくて。
でも,だからこそ微妙な表情が全部顔に出る。

分かりやすいんだか,にくいんだか。





―――――――――――――

実は昨日更新予定だったけど,オチを見失って今日の分に回しました。

そしてこの場を借りて私は言いたい。

女子の冬服って萌え━━━━(゜∀゜)━━━━!!!
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