章用 その他

□森羅万象恐怖症
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空持 猫について親友阿賀野 雪摩呂子から一言
「ええ、彼女がどんな人間かって?ええ、あの子は名前通りの殻持ちですわ。ええ、貴方には差し上げませんのよ。ええ、そう彼女は臆病で可哀らしいマイマイ・キャット!」



「ええ、かたつむりさんご機嫌いかが」
「怖い」
「ええ、また何を見たんです?夜遅くのホラー番組?映画?都市伝説の本かしら」
「ニュース」
「ええ、さあ訳をお喋りになって頂戴可愛い猫ちゃん。私が守って差し上げますわ!ええ、人間の力が及ぶ範囲で勿論」
「地震が嫌だ。怖いよ。タンスは全部片付けたけど他に何が倒れてくるかわからない。壁が割れるか床が裂けるか。寝てる間にぺしゃんこなんてそんなの、怖いよ。雪摩呂子ちゃん。雪摩呂子ちゃんも死なないで!」
「ええ、私自然現象を起こさぬ手立ては心苦しくも存じませんの。でも例え地球が割れようと、貴女に何の不自由もない暮らしを約束しますわ」
「雪摩呂子ちゃんが心変わりして、私を嫌いになるのも怖い」
「ええ、だから私は心変わりしませんの。ええ、信じる必要はありませんわ。私が貴女を裏切らなければいいだけのことですもの」
「怖い」
「ええ」
「怖いよ」
「ええ」
こうして親友は寄り添い合う。
殻にこもって震える体に温もりを与えようと、優しく抱きしめながら。





――――――
遅いが名前の読み方
空持猫:からもちねこ
阿賀野雪摩呂子:あがのゆきまろこ

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