章用 その他

□散った花の名
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いつも側にいて一緒に遊びに行ったりおそろいのものを持ったりお互いに想い合う友達を、親友というらしい。
そして私の親友は鹿目まどかだった。
「ほーむらちゃんっ」
「きゃ!?」
「誰だ?」
「…まどか」
「正解!よくわかったね」
にへらへらと笑う彼女は今日も可愛い。
「おはよう。ほむらちゃん」
「おはよう。まどか」
まどかが生きているだけで私の世界はこんなに明るい。どうか今日もあなたが笑顔でありますように。



誰にもあなたを傷つけさせないように、私はまどかと放課後を過ごす。二人きりの教室はセンチメンタルに罹る。まるで普通の女の子のようにおしゃべりをするのはまどかに後ろめたくて、だけど夢みたいに楽しかった。
「まどか。髪に何かついてる」
「え?どこ?」
「とってあげるわ」
まどかの後ろにまわって天使の羽のような毛玉をとった。
隙だらけの後ろ姿に、まどからしい匂いの髪にそっと唇を近づける。彼女は気付かない。まどかとキスがしたい。これは欲情。親友失格。
「ほむらちゃん?」
さらりと髪が私の手から零れる。
「あ。」
「どうかした?」
花のように振り返った彼女があまりにも純真で無垢に美しかったから自分が恥ずかしくてそっぽを向いた。
「何でもないわ」
「そう。ありがとね」
まどかは悪戯を思いついた五歳児のように瞳をキラキラさせて言った。
「そうだ。お礼にほむらちゃんの髪、可愛くしてあげる!」
「え?」
「いいから!ほら」
強引な態度に圧されて回れ右の姿勢を取る。無防備に背中を預けるなんてドキドキする。そこにまどかが立ってるからドキドキするのかもしれない。吊り橋のワルツ。
三つ編みがほどかれて肩に広がる。学校では下ろしたことがなかったら気恥ずかしい。
「髪綺麗だね」
慈しむような声を出さないで。優しくされると泣きたくなる。
髪にまどかの指が通って、さらさらと零れ落ちる。
「はい、完成。もう見ていいよ」
鏡に映った自分の姿。何をそんなにもじもじしてるの。
「やっぱり髪下ろすのも似合う!大人っぽいね」
「……ありがとう」
「もうっ!ほむらちゃん可愛い」
ぎゅうっと抱き締められた。暖かい人肌と甘い香り。人生で一番幸せかもしれない。パンクなドラムのように滅茶苦茶に鳴る心臓の音が届いてないか不安になる。
屈んで私の指にキスをして、上目遣いに微笑むまどか。
「大好きだよ」
みぞおちの奥がぎゅんと苦しくなった。たまらない。
その言葉で私の心がどれだけ揺れるかあなたは知らない。
今度こそ、私はあなたを守るわ。



おろしたばかりの黒髪が舞う。
「まどか、大好きよ」
そして私は何世界目かのまどかを撃った。









――――――
百合の主人公攻めは美味しい。
まどかのパンツはぁはぁもぐもくなほむらを優しく抱き締める女神のような旦那まどか萌え。パンツもぐもぐ。

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