章用 その他

□パンドラの箱にこびりついた
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「風が泣いてるにゃ…」



このスイッチを押したらもう私はハミィと友達に戻れないだろう。
世界滅亡の前の反省タイム。これからのことを反省とは言わないが、やるしかないのだからもう反省と言っていいだろう。メフィスト様に報いるにはそれしかないのだから。
スイッチ一つで世界を地獄に叩き込むこと。
私に与えられた最後のその役目を果たせば私もハミィもすぐに命を落としてしまう。自分の目から涙が溢れてるから、たぶん私は思った以上に悲しいんだろう。
あんな子猫でも受け止めてくれるものがいるってことは悪役の自分にも嬉しかった。でも私はハミィを最悪の形で裏切って、もう絶対に友達でいることはできなくなる。
最後だから言うけど、私はハミィのことが大好きだった。
もう戻れないと知っている。



奏の白い顔を見る。絶妙の触り心地だった肌は潤いをなくし、表情も苦しそうに歪んでいる。少しでも彼女の苦痛を和らげようと頬を撫でて、黒い空をぼんやり眺めた。流れの早い雲がいかにもな様子で渦巻き終末を知らしめている。私は座り込んだままだった。
『何をしてるドド!?』
私の前に立ったのはキュアミューズ。ドのフェアリートーンがいつもと違う切羽詰まった声で私を呼んだ。
『プリキュアなら早く変身して皆を助けるドド!世界の終わりが近づいているドド!』
「奏を置いていけない」
『その子もプリキュアドド?キュアリズムに変身したらいいドド!』
「駄目だよ、今プリキュアになったら奏は死んじゃう」
『でも世界の危機ドド!』
「世界の為にプリキュアは死ねって?」
怯んだキュアミューズを睨む。
「そんなの絶対ゆるさない」
逃げ惑う人々をキュアミューズの背景に捉えてそれでも私は言う。
「奏が死ぬなら世界なんて滅んだって構わない」
『それは…』
間違ってる、と彼女は言おうとしたのかもしれない。間違ってることは知っている。
パパやママも含めて全世界の人と秤にかけても、このたった一人の少女には敵わない。
無理だということを悟ったのか、キュアミューズは最後に見下すように私を睨んで空の向こうに跳んでいった。きっと向こうに悪役がいるのだろう。正義の味方にさようなら。
ハミィには悪いことをした。
座り込んだまま、呼吸もおぼつかなくなってきた奏の額にキスをした。言うべきことも見つからないで世界はそろそろ終わってゆく。








――――――
四人目のプリキュア登場前に。ひびかなmgmgmg
やっつけぽくなってしまいすみません。

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