捧げ物
□白い記憶 下
1ページ/5ページ
「──っ」
「どうした?」
アイツは…!?
破面になりやっと周りの環境になれた頃、新たに破面が増えると報せを受けた
今回はお披露目をするとかで、破面の上位20までが大広間に集められ、No.12の俺も例外なくその場に居た
藍染に連れてこられた新入りは、一言で言えば“白”
白以外の色といえば、サラサラそうな黒の髪と、びっしりと生えた睫毛にかたどられる瞳の翡翠(みどり)
何処かで見たきがする…
十刃たちの間だから、新入りを見つめる
ふと絡んだ視線
心臓が高鳴って、記憶がフラッシュバックした
「ウルキオラっ!!」
つい叫んだ
逢えた事が嬉しくて、気づいた時には口から出ていた
「なんだ、知り合いだったのかい?」
「あぁ!!」
近くでウルキオラを見たくて目の前の十刃たちを押し退ける
後で何を言われようが構わない
もう一度逢いたかった
「ウルキオラ」
「……」
見上げてくる瞳
破面になれた時のように嬉しかった
しかし、
「逢いたかった」
「……」
「ウルキオラ?」
「…誰だ貴様」
「──っ」
ウルキオラは俺の事を忘れてしまっているようだった
覚えてるのは俺だけなのか?
あの時会ったのは確かにウルキオラだったのに…
「…グリムジョー、戻りなさい」
「……」
あの翡翠はあの時のまま
なのに忘れちまったのか…?
会った時の事が頭の中をぐるぐる巡る
羽だって持ってんのに…
「で解散だ。グリムジョー、君は残っておきなさい」
そうしているうちにお披露目は終わった
藍染が俺を呼んでいる
今は一人になりたかった