捧げ物
□甘い疼き
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「だから……の事が……んだよ!!」
「…それを言って私にどう反応して欲しいんだい?」
任務が終わり、藍染様に報告をしようと玉座の間に行くと何やらグリムジョーと藍染様が話していた。
普段、犬猿の仲である2人が普通(?)に話しているのを聞いて、俺は入るのを少しためらう
邪魔しちゃダメ…だな
そう考えた俺は、会話が終わるまで待つ事にした
「どうにかなんねぇか?」
「そんな事言われてもなぁ」
小さく開いたドアから会話に耳をたてると、何やら疲れたような藍染様の声が聞こえる
アイツ…何を話しているんだ
話しているのはいいが、藍染様に迷惑をかけるのは許さない
俺は1人イライラする
「本当に、好きすぎてヤベェんだよ」
「だから、知らないと言っているだろ?」
好き…?
藍染様が返した言葉はやはり、疲れ気味
だが、それ以上にグリムジョーの言った“好き”が気になった
「はぁっ」
「ため息をつきたいのはこっちだよ」
誰が好きなんだ
俺には一度も言った事がないのに…
「じゃあどうすればいいか教えろ」
「はぁっ」
誰の事なんだ、いったい誰の…
俺は酷く混乱した
「あーもうっ!!アイツが可愛い過ぎっからいけねぇんだ!!」
「──っ!!」
可愛い…それを聞いて胸が苦しくなった
だがこんな感覚初めてで、戸惑う
意味が分からない、何なんだこれは…
無意識のうちに俺は、胸のあたりを掴んでいた
苦しくて堪らない
…それに胸の中がモヤモヤする
俺は何かの病になってしまったのだろうか
「ん?ウルキオラ?」
「あ…」
考えこんでいると、話が終わったらしいグリムジョーが玉座の間から出てきた
「藍染に用事か?」
「……。」
「おいウルキオラ?」
「──っ」
グリムジョーは俺の事なんて好きじゃない…
俺は誰かの代わり
そんな考えがよぎり俺は、その場から逃げる
…なんて女々しい
響転を使いながら、自嘲じみた笑みを1人浮かべた