捧げ物
□悪魔の薬
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「ウルキオラ様!?」
ノイトラからのおつかいを終え自宮へ帰ったテスラが見つけたのは、あられもない姿でベットへ横たわるウルキオラと精の独特な香りだった。
臭いもきになるが、こんな姿のウルキオラを放置できない、
そう思ったテスラは、慌てて下に落ちた服をかき集め死んだように動かないウルキオラを起こそうと必死に肩を揺らした。
「ウルキオラ様、ウルキオラ様!!」
「……、」
「あ、よかった。気がづきましたか?」
肩を揺すること数十回、やっと目を開けたウルキオラにテスラはほっと胸を撫で下ろす。
しかしその瞳はぼんやりとし、どこかまだ眠っているようだった。
「とりあえず服を着ましょう。寒いですから。」
ゆっくりとウルキオラは体を起こすと心配そうに見つめてくるテスラから服を受け取りふらふらとしながら身につける。
その姿にまたテスラはドキドキとしながらも不躾にウルキオラを見つめるのは悪いかと思い、他に異常がないか宮を見渡す。
特に変わりがない事を確認した後、ウルキオラに視線を遣るといつものウルキオラの格好へ戻っていた。
「…テスラ」
「は、はい!!」
ぽつりと呟いたウルキオラに何か言われるのではとテスラは身を固くさせる。
しかしそんなテスラの心配は杞憂に終わった。
「悪い」
「い、いえ」
ウルキオラはただ一言らしくない言葉を呟いただけで、それ以上何も言うことなく、ぎこちない歩きで第5宮を出ていった。
「いったい何だったんだ…」
一連の出来事にテスラはその場に立ち尽くす。
どうしてウルキオラが居たのか、どうしてあんな姿だったのか
聞きたいことはあったが、触れてはいけない気がしてウルキオラに聞くことが出来なかった。
そして、感情を出さないウルキオラが悲しそうな瞳をしているのがテスラには引っ掛かり、宮の換気をするのを忘れ任務から帰ってきた血だらけのノイトラに、誰か連れ込んだのかとどやされてしまうのだった。
――――――。。。。
「ふはっ、最高の結果じゃないか」
ザエルアポロは自宮の奥に作った研究室で密かにつけた監視カメラの映像をモニターで眺めながら、愉悦に顔を歪めていた。
「女体化だけではなく、催淫効果も発現するなんて喜ばしい誤算だ。それに…」
モニターに映るのは、従属官にあたり散らすグリムジョーと自宮に戻りベットに沈みこむウルキオラ。
行動は違うもののその原因が先程の行為と相手の反応にあるのは全てを見ていたザエルアポロにとって手に取るように分かった。
「面白いことになりそうだね」
ザエルアポロはより一層笑みを深めると、手近にあった書類に何やら書き付けたのち二人の様子を興味深そうに見つめるのであった。
〜fin〜