long
□Act:1 出逢い
1ページ/4ページ
「ココか…」
桜の蕾がもう少しで開く頃、俺は空座町に引っ越してきた。
「大丈夫そうだな」
前に住んでいた街は田舎で教員生活の三年間をそこで暮らしたが、不便でたまらなかった。
だが、空座町は大きい町で大丈夫そうだ。
住む事になったマンションの近くにはコンビニやスーパーなどがある
マンションも新築のようできれいだ
これから初まる新しい生活に、俺は胸を踊らせていた
が
「問題は同居人か…」
俺の安月給で高い家賃のマンションに住める訳もなく、結局一番安い部屋…そして同居人付きの部屋になった
「変な奴じゃないといいんだが…」
会ってもいない同居人を思い浮かべて憂鬱になる
「はあっ」
無意識のうちにため息が出た
こんなに面倒くさいと感じる引っ越しは初めてだな…
だが、いくらため息をついても現実は変わらない
新しい新居の前でうだうだしていた俺は、重たい指をあげてチャイムを押した。
─ピンポーン─
小気味いい音が耳に届く