1たす1の魔法
□一話
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「…は?梅婆様、今何て…」
「何度も言わせるんじゃありませんよ」
さて、99回目の転生も終わり、100回目の人生を歩み始めた『私』
『ジパング』という日本とよく似た国に生まれた。文化レベル的には、20世紀ごろの日本とそう変わらない。
それはさておき、ジパングを含めたこの『世界』には明らかに人知を超える物が存在していた。これで100回目の転生になるが、こういうのは初めてかもしれない。
「一族の代表として異国の呪術を習いに行けなんてそんな…」
…要するに『魔力』が存在する世界なのだ。
この世界には、酸素や窒素などとはまた別に『魔法元素』というもので溢れている。
このジパングでは呪術、もしくは陰陽術としてそれを力に変換するのだが…どうやら外国ではその技術も効力も呪文も全て違うそうで。
『私』の生まれた家は、歴史ある神道系の家系。『私』自身、後継ぎの一人してその力を鍛えてきた。
しかし、急過ぎる。
「何を言いますか、馬鹿孫が」
「ばっ…馬鹿って婆様…」
「本来ならば16歳になるのと同時に行かねばならなかった修行の旅…それを渋って本家を半壊させたのはどこの誰です?」
「すみませんでした」
ごめん、全く急じゃなかった…だって、面倒だったんだもの…。
100回も転生を重ねている『私』だが、ものぐさで出不精なところは何度転生しても変わらなかった。
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