1たす1の魔法

□二話
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「えーと、口寄せ用の古文書と…あっ、護符用の和紙もいるか…?」

「主様!早くしてください!汽車の時間に間に合いませんよ!」

「だぁあっ!今行くっ!」


着替えやら呪術道具やらを詰め込み、すっかりパンパンになってしまったキャリーケース。
式神にそれを押し付け、『私』は制服へと着替えた。あのババアめ、最初から『私』を外国へ追いやるつもりで用意していやがったな。しかも、行き先はラティウムだって?


「はぁ…」


ラティウムと言えば、魔法学校の総本山、ミルス・クレア魔法院がある都市だ。『私』はそこに通わせてもらえるらしい。
正直、外国に行くのは面倒だったが、魔術の方に興味があるというのもまた事実なわけで。あそこには、多くの魔術書やマジックアイテムが集まると聞く。
きっとジパングではみられないものばかりだろう。

本来ならきちんと編入試験を受けて入らなければならないところなのだが、梅婆様と学院の創設者であるファタ・モルガナ様は、ジパングの鎖国終了の時以来の友人…だそうで。
ちょっと反則気味だが、そういうのは一切無しで編入できることになった。

超難関校らしいが…本当によかったのだろうか。


とはいえ、自分の実力をそこまで過信しすぎるのもよくないと思うので、この件に関してはもう何も言うまい。


「主様ああああっ!」

「だから、今行くって!」


せかす式神の声をBGMに『私』は表へと出る。
そのまま裏山へと続く階段をのぼりはじめた。

裏山には、神道系の家ということもあって、『私』の家には神社がある。そしてその神社が少しばかり特別な場所でもあった。






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