短編小説

□梅雨
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「チッ……」




スクアーロは己の剣についた血を振り払い、眉をしかめて舌打ちをした。




今回の任務はいつものような団体で動くのではなく、スクアーロ一人だった為に思ったよりも時間がかかってしまった。




それだけじゃなく、返り血が予想以上に隊服にかかっていて、これじゃぁ車に乗れそうもない。




6月の中旬。この時期は特に湿気が高く、世間では梅雨を呼ばれる季節である。




ちょうど日も落ちているこの時間、雨でも降りそうな雲行きの中、スクアーロは暗い夜道を歩いて帰ることにした。




それにしても、今日はスクアーロにとって最悪と言えるほど運が悪かったのだ。




任務の最初で敵に見つかり、挙句の果てに深い傷が3つ…




そしてなにより、任務の前に…XANXUSとケンカしてきてしまった事。




いや、喧嘩は些細なことから起こり、そこまではいつものようなのだが、




注意謝って飛んできたグラスに気がつかず、珍しい事に頬を切ってしまったのだ。




「……アイツ、怒る…かぁ?」




ふいに、XANXUSにこの傷を見られたときの事を想像してしまった。




自分の不注意とはいえ、目立つ場所なだけに怪我をした自分を呪った。




「これじゃぁ、隠せねぇしなぁ……」



ブツブツといいながら、スクアーロは夜道に足を進めるのであった。



























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