短編小説

□生まれてきてくれて、ありがとう
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「あー、楽しかったぁ!」


まだ酔いが回っているのか、スクアーロはリムジンのソファーに大きな音を立てて寝転がった。


車内が広いのを良いことに、ゴロゴロと好き勝手に動き回る。


そのせいで被っていた栗色のカツラは床に落ち、癖っ毛でありながらも美しい艶をもつ銀髪が露わになった。


「はしゃいでんじゃねえよ、カス」


「・・・・・」


やはりまだ酔っているようで、主であるXANXUSの言葉に返事を返さなかった。


「・・・ったく」


俺は少々呆れながらもスクアーロの傍らに腰を降ろした。


「・・・おんぞうしぃ?」


俺の行動を不審に思ったスクアーロが潤んだ瞳を揺るがせながら小首を傾げる。


・・・ちくしょう。こんな何気ない仕草に不覚にも鼓動が速まっちまう・・・。


「なぁ、今日の俺・・・ちゃんとオンナに見えてた?」


「あ?・・・あぁ、カスにしてみりゃ上出来・・・」


「ホントかぁ!?」


「・・・と、言いたいところだが・・・最後のアレは何だ?まったく品のねぇ野郎だ」


「・・・ご、ごめんなさい・・・」


しゅん、と垂れ下がった耳が見えるんじゃないかってくらい大袈裟に落ち込むスクアーロはXANXUSの加虐心をより沸き立たせる。


「フン・・・まぁいい」


別にそれほどまで気にもとめていなかったのでこれくらいで許してやろう。


そう思う反面、スクアーロに甘い俺を潮笑う自分がどこかにいる。


それにしても赤いドレスがよく似合っている。


「ぎゃっ!」


「もっと色気のある声出せねぇのか」


細くて力を加えれば折れてしまいそうな身体をトンと押せば、何の抵抗も無しにソファーに再び寝転がる体制へ戻った。


「ちょ・・・どこ触って・・・ッ!!」


XANXUSは手始めにと言わんばかりにスクアーロのドレスを脱がしに掛かる。


「なんだ?着たままヤりてぇのか変態」


「ち、ちが・・・ッ!」


「なら大人しくしてろ」


口調とは裏腹に優しい口付けを一つ落としてから、ゆったりと背中のファスナーに手をかける。


「ん・・・っ、・・・くすぐってぇ・・・ッ」


背中にXANXUSの手が触れる度、クスクスと笑いながら身じろぎする。


やっとファスナーを最後まで降ろしたとき、不意に目が合った。


「結構、・・・エロいな」


「・・・!バカじゃねぇの・・・」


恥ずかしそうに目をそらすスクアーロがまた可愛くて仕方がない。


口に出すと怒りそうなので言う代わりに何回も優しくキスの雨を降らせてやる。


唇、頬、首筋、鎖骨・・・だんだんと下へと移動する口付けに戸惑っているのか、横目にスクアーロを見やると目が泳いでいる。


「御曹司ぃ・・・」


いつもより一回り小さな声で発された言葉は、まぎれもない自分にだと知らされる。


返事をする代わりに顔をあげると、スクアーロの両手がXANXUSの顔を挟むように伸ばされた。


XANXUSは抵抗せずに、スクアーロの好きなようにさせてやる。


「まだ言ってなかったからなぁ・・・」


「・・・?」


「Buon Compleanno,XANXUS!!」


スクアーロは言い終えると同時に短い口付けをし、口角をあげてニッコリと笑った







「プレゼントは俺だぁ!!」






end
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