短編小説

□Valentine
3ページ/4ページ

「…だから、コレ…アンタの為に作ってきた」



「……」



スッと差し出したティラミスを、XANXUSは暫し見つめると、次にスクアーロに視線を移した。



「俺に…?」



余程恥ずかしいのか、耳まで真紅に染めたスクアーロは俯きながらも必死に頷く。



それを見たXANXUSの唇が微かに緩んだ。



皿に添えてあったスプーンで一口掬い、己の口に運んだ。



「う…旨い、かぁ?」



「…あぁ」



「良かった」



その一言に満面の笑みを浮かべたスクアーロ。



それを見ていたXANXUSは、心底この男を愛しいと思ったのであった。



「それ、ルッスに教えて……、ンッ」



スクアーロの髪を引っ張り、うるさいとばかりに口付けた。



先程食べたティラミスの苦い味が二人の口内に広がる。



「…ぁ、ふはっ」



酸素を求めるスクアーロの胸が上下する。



「甘めぇな…」



「なっ…これでもすげぇ苦く作ったんだぞぉ!!!」



小さく呟いたXANXUSだったが、スクアーロにも聞こえてしまったらしく、激しく反応した。



あぁ、どうして俺は素直にありがとう、と言えないのだろうか。と、XANXUSは心の中で自分を悔やむ。



「まぁ、たまには…こういうのも嫌いじゃねぇがな」



「ふぉおだろぉ?」



何か、スクアーロの喋り方がおかしかったので、



ふと、XANXUSが見ると、勝手にティラミスを口に頬張っていた。



「てめぇ…」



「お、怒んなって…っ、悪かったぁ」



そう言いつつも、またもや一口、己の口へティラミスを運ぶ。



「う゛ぉっ!?」



XANXUSはスクアーロの顎を素早く掴んだ。



そして、ゆっくりと口付けた。



「ん゛…っ!?…ン、」



スクアーロは突然の行動に動揺を隠しきれず、尚も目をキョロキョロと動かしている。



そんなスクアーロをよそに、XANXUSは口内に向かって舌を入れていく。



「ん、ちょっ……」



「るせぇ」






























⇒NEXT
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ