短編小説
□Valentine
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「…だから、コレ…アンタの為に作ってきた」
「……」
スッと差し出したティラミスを、XANXUSは暫し見つめると、次にスクアーロに視線を移した。
「俺に…?」
余程恥ずかしいのか、耳まで真紅に染めたスクアーロは俯きながらも必死に頷く。
それを見たXANXUSの唇が微かに緩んだ。
皿に添えてあったスプーンで一口掬い、己の口に運んだ。
「う…旨い、かぁ?」
「…あぁ」
「良かった」
その一言に満面の笑みを浮かべたスクアーロ。
それを見ていたXANXUSは、心底この男を愛しいと思ったのであった。
「それ、ルッスに教えて……、ンッ」
スクアーロの髪を引っ張り、うるさいとばかりに口付けた。
先程食べたティラミスの苦い味が二人の口内に広がる。
「…ぁ、ふはっ」
酸素を求めるスクアーロの胸が上下する。
「甘めぇな…」
「なっ…これでもすげぇ苦く作ったんだぞぉ!!!」
小さく呟いたXANXUSだったが、スクアーロにも聞こえてしまったらしく、激しく反応した。
あぁ、どうして俺は素直にありがとう、と言えないのだろうか。と、XANXUSは心の中で自分を悔やむ。
「まぁ、たまには…こういうのも嫌いじゃねぇがな」
「ふぉおだろぉ?」
何か、スクアーロの喋り方がおかしかったので、
ふと、XANXUSが見ると、勝手にティラミスを口に頬張っていた。
「てめぇ…」
「お、怒んなって…っ、悪かったぁ」
そう言いつつも、またもや一口、己の口へティラミスを運ぶ。
「う゛ぉっ!?」
XANXUSはスクアーロの顎を素早く掴んだ。
そして、ゆっくりと口付けた。
「ん゛…っ!?…ン、」
スクアーロは突然の行動に動揺を隠しきれず、尚も目をキョロキョロと動かしている。
そんなスクアーロをよそに、XANXUSは口内に向かって舌を入れていく。
「ん、ちょっ……」
「るせぇ」
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