短編小説
□本当の願いは?
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「うししっ、気に入ってくれて良かったよボス。…じゃぁ、俺は報告書書いてくるから」
慌ただしく部屋に入って来たベルは、またもや同じように慌ただしく部屋を出て行った。
「あら?それじゃぁ私も、そろそろお暇しましょうかしらね」
気を利かせたルッスーリアも、ドアの方に歩み寄って行き、談話室を出ようとした。
「あ、そうそう、笹の葉に短冊っていう紙にお願いを書いて吊るすと、叶うって聞いた事があるわよ」
「あ゛ぁ!?そんなんで叶うのかぁ?…ありえねぇだろぉ!!!」
「…っるせぇ!!!」
「ぐぁっっっ!!!!」
スクアーロがXANXUSの近くで途端に大声を出したものだから、XANXUSは静かにさせるために、
スクアーロの腹にブーツの踵をクリーンヒットさせる程威力のある蹴りを喰らわした。
思いも寄らぬ攻撃に対処がつかなかったスクアーロは痛々しそうに顔を歪め、床に膝をついた。
「フン、……ドカスが」
「ま…まぁ、保証はないけど、気分の問題よ♪…折角なんだから試してみたら?」
「う゛…おぉ……」
日常茶飯事の事ながら、ルッスーリアはスクアーロの心配をする訳でもなく、言い終えると部屋を出て行った。
未だに痛みが走るのか、腹に手を添えているスクアーロをXANXUSはじっと見ると、
今まであまり開かなかった口を開き、
「カス、今すぐ紙とペンを用意しろ」と。
「…!?う゛おぉぉい!!!ボスさんよぉ、あんな話信じてんのかぁ!?」
「………あ゛?」
「わ、分かった…」
XANXUSに凄まじい眼光で睨まれ、再び蹴りが飛んできそうな予感がしたスクアーロは渋々承知した。
引き出しから短冊の代わりになるような紙を選び、机に立ててあったペンに手を伸ばす。
「…なぁ、XANXUS。こんなもんに何願うってんだぁ?」
「…さぁな」
ちゃっかり自分のも用意したスクアーロはXANXUSの目の前の机の上に紙を置いた。
何を書くか問うたが、ただ口角を上げて笑っただけで、スクアーロには見えぬように文字を書き始めた。
「…」
(やっぱり、ボンゴレ…かぁ?)
その姿を見、スクアーロはその願いしか思いつかなかった。
仕方なく自分も短冊に願いを書いた。
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