novel No.1 .
□青空の下で
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天気がいい。
こんな日は、誰かに会いに行って、共に空の美しさに浸りたくなる…
いつものバス停には、乗るはずのバスが、時間ぴったりに停まっていた。
「お客さん、乗りますか」
「…いや、やっぱりいいです」
たまには歩いて帰るのも、悪くないな…
バスを見送ると、チカッ、と一点眩しい光が目に入った。
太陽の光を反射させ、水たまりが輝いている。
水たまりには、きれいに澄んだ空が映っていた。
「…手塚!」
聞き覚えのある声に呼ばれると同時に、水たまりにも、見覚えのある顔が、のぞき込むように映った。
振り向くとそこには
見慣れた、優しい笑顔ー…
あぁ…そうか
俺はこいつに会いたかったんだ。
歩道橋の上から手を振られ、思わず振り返す。
駆け下りてくるあいつを、ほんの少し微笑みながら待った。
手を繋いで。
じゃあ
今日はどこに行こうか。
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