拍手連載





春になり、1学年上がって2年生になった。
教室に行くと、見知った顔や初めて見る顔がぞろぞろといた。


俺の席は…窓際の一番後ろか…。


「お、また一緒のクラスか武藤」

「おぅ」

「あ、武藤くんここなんだ。
よろしくね」

「あぁ」


席に着くまでにいろんな奴が話しかけてきた。

正直俺は人と一緒に居るのが嫌いだ。
でも勝手についてきやがる。

別に特別な事をしているわけではない。
ただ、普通に会話して、普通に接して、普通に生きているだけだ。


なのにうろうろついてきやがってうっとーしぃ…。

と溜め息をついていると、
いきなり教室のドアが開いた。


「おはよーっ」


と女子の声がした。
声のほうを向くと、皆も返事をしようとしたのかそちらを向くが、
シン・・・ と一瞬静まり、
返事もせずに自分の日常へと戻っていった。


なんでぃ皆、返事くらいしてやれよ。


ふん、と思いながら、その女子の顔を見る。
別に気にしていないようだ。


あ。あいつ確か…。

橘…橘だ。


橘。そいつは他のクラスにまで噂が広がるほどの嫌われ者らしい。
俺もその噂を耳にしたことがある。

何かうっとうしい。

と。


見た目普通な奴なのにな…。


そんな事を考えていると、
橘は俺の斜め前に座った。


「えっと、武藤くん…よね?
これからよろしくね」

「ん? あぁ」


にこりと笑いながら話しかけてきた。
俺はまぁ適当に返事をする。


「武藤くん噂通りかっこいいね!
何だか同じクラスになるなんて夢みたい…!」

「あぁ、そう」


んな噂流れてんのか…!?
うわぁー…最悪。


「今日課題提出あるよねー。
ちゃんと…」

「武藤くーん、ちょっといい?
運ぶの手伝って欲しいんだけどぉー??」

「あぁ、別にいいけど」


めんどくさと思いながら了承する。
橘の話が途中だったので謝って立ち去ろうとすると、
彼女も立ち上がった。


「ゆい子ちゃん、私も手伝おーか?」

「いいよ。橘さんは」

「あ、でも、人多い方が早く済むし…」

「いいって、行こ。武藤」

「…あぁ」


去っていく時一瞬見えた橘は…。

笑顔だけど、凄く辛そうな顔をしていた。

無理矢理くっつけたような。そんな感じだった。





Continued...






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