もみじ饅頭2

□末っ子三男坊
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これは自慢じゃないが俺の恋人の田島はハッキリ言ってかなり可愛いしカッコイイしモテる。
スポーツ万能で明るく元気で5人兄弟の末っ子というコトもあり皆、アイツを甘やかす。
俺はそれが少し、気に喰わない。

【末っ子三男坊】

「あはは!うんうん、そいでさー、姉ちゃんに思いっきり怒られてさー!」

珍しいな、田島が電話してるなんて。
大概はメールなのに。
つか誰と電話してんだ?

「え、マジ?じゃあ明日遊びに行こーぜ!明日俺ントコも部活ねーし」

ガタンッ

だ・れ・と・電話してんだー?!

「田島、早く着替えねーとオレ先帰っぞ」
「あ、ちょ、花井。うん、じゃまた後でメールすんな。またなリオー」

リオー?!
リオーって誰だ?!
9組にそんな名前の女子いたっけ?

「ちょっとくらい待ってくれてもいーじゃんかよー。花井のケチー」

ヒク…とこめかみが一瞬動いた。
が、ココは我慢だ、我慢。

「オメーが長電話してっからだろ」
「だってリオーの奴落ち込んでっからさ。あ、明日俺リオーと遊び行くからー」
「……誰?リオーって」
「え?花井シラネーの?桐青のリオー」
「と、桐青?!」

コイツいつの間に?!
つか何でメアド交換してんだ?!
つかドッチから声かけたんだよ!!?

「そ、同じ捕手同士だからさー」
「お前コッチの情報流してないだろーな?」
「してないよ。オレそーゆーのはキチンとしてるもんっ」

あぁ、何か色々フツフツと沸き上がってきて、止めらんねー。

「田島」

グイッ

「むぉ?」

ガタン…

「勿論彼氏がいるコトは言ってんだろーな?」
「花井?」

田島にキスをしようとしたらフイとかわされてしまった。

「花井、どうした?」

どうした?じゃねーよ。

「田島、明日オレがお前と過ごしたいっつったらお前桐青の奴とオレどっち取んだよ?」

オレって言えよ、田島。

「花井?……花井もしかしてリオーにヤキモチ妬いてんのかっ?!」
「!?」

ドッキィとつい反応してしまった。

「何だやっぱそうかー」

クッソー、つい顔に出ちまった…。
オレってだから何かいまひとつなのかも…。

「花井安心しろよ!」

ギュッと田島が抱き着いてきた。

「え?」
「オレが惚れ込んでんのは花井だけなんだからよ!」

た、田島ぁ〜〜!!!!

「にしても花井って案外独占欲強いんだな」
「わ、悪ぃのかよ…」
「ううん、チョー嬉しー!今ので更に惚れた!」

ったく、ホントにコイツは…。

「田島」
「ん?」
「…目閉じろ」
「はい!」
「俺も惚れた…」

そう言ってキスすると…

「花井、もっかい!」
「は?」
「もっかいったらもっかい〜!」
「あー、はいはい、分かったから暴れんな」

まぁなんだかんだで1番甘やかしてんのはオレなんだけどな。
いや、オレは恋人なんだからいいんだよ。

END
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