もみじ饅頭2

□天才キャッチャー
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皆で帰ってると急に利央に鞄を引っ張られた。

グイッ

「うおっ?!」

【天才キャッチャー】

「本サン本サン!アレ欲しい!オレアレ欲しい!!」
「えー?」

利央の指さす方を見るとゲーセンの表に置かれたUFOキャッチャーがあった。

「えー、何どれー?」
「アレ!あのクマ!あのデッカイの取って取ってー!」
「利央、ウルセーぞ。自分でやれ」
「でも確かにあれ可愛いな」
「和さん、今すぐ俺が取ってくるんで待ってて下さい!」

そう言ってぬいぐるみのトコへ走ってった準太。

「オレも!オレも行くー!」

付いてった利央。

「やれやれ…俺らも行くか」
「そだね〜」
「つか準太人気あんだな。周りの子らが写メってるし」
「準太〜、ど〜お〜?」
「ヤマちゃん、見たら分かるコト言わない」

あー、甘いなー。

「和さん、すいません!すぐ、すぐ取りますから!」
「ねー、準サンオレと交代ー!」
「本やん、そろそろ手伝ってあげたら〜?」
「えぇー」
「でも俺もアレ欲しいな〜」

ピク

「分かった、ちょっと待ってて!」
「う〜ん」
「ヤマちゃんサンキュ」
「ど〜いたしまして〜」

俺は500円玉を両替し準太と利央のトコに行った。

「準太交代」
「えぇー」
「俺2回やったら交代してやっから」
「…はい」
「大体準太はなってねーんだよ」
「え?」

ジャラ…

「100円玉は両替して台の上に並べねぇと」
「うわぁー、本サンカッコイー!」
「ヤマちゃんドレがいー?」
「どれでも〜」
「んじゃ手抜きだけどゴメン」

そう言って俺は1番取りやすいのを取った。

ウィーン
     ボスンッ

「はい、ヤマちゃん」
「わ〜ありがと」
「す…すげぇ…!」
「わー!本サンスッゴーイ!」
「まーこんなもんよ。利央もいるか?」
「うん!いる!いる!」
「よし、ちょっと待ってなー」
「本やんは相変わらず上手いなー」
「えー、そんなコトないよー」

ウィーン
ボスッ

「はい」
「わー、ありがとォー!本サン!」
「準太は?」
「…自分で取ります。2回やったんスから交代して下さい」

あー、コイツはホントにプライド高いなー。

「準太」
「はい」
「あと2cm横に移動させたら取れるよ」
「あと2cmって…」
「うーん、2秒くらいかな?」
「…どもっス」
「はいよー」
「本やんテヤ〜」

いきなりぬいぐるみの手が俺の脇腹を殴ってきた。

「わ、ビックリしたー」
「俺本やんのそーゆートコ大好き〜」
「ヤマちゃん…俺もヤマちゃんのそーゆートコ好きだよ」
「でもモト何であんな上手いんだ?」
「え?…勘?」
「勘って…」
「本やんは天才キャッチャーなんだぞ〜」
「ヤ、ヤマちゃん」
「じゃなきゃこの俺のハートを掴むコトなんて出来ないでしょ〜?」
「ヤ、ヤマちゃん…カッコイイー!掴まれたのは俺の方だよ!」
「今のでキュンとくるモトが分からねー」
「和さん、と、取れました!取れましたよ!」
「おー、ありがとな、準太」
「は、はい!」

まさかガキの頃親に叱られても毎日ゲーセン通いまくって鍛えたなんて言えねー。

END
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