もみじ饅頭2

□誕生日プレゼント
1ページ/2ページ

「本やん」
「んー?」
「本やん明日誕生日だったよね〜?」
「うん。ぇ、覚えててくれたの?!」
「大事な恋人の誕生日くらい覚えてるよ〜。でさ〜、何欲しい?」

【誕生日プレゼント】

「え、何…うーん…特にないかな。ヤマちゃんがくれるもんなら何でも嬉しいし」
「じゃ本やんに俺が昔集めてたセミの抜けが‥」
「すいません、俺が悪かったです。ごめんなさい、やめて下さい」

忘れてた。
ヤマちゃんはこーゆー人だった。

「も〜、何でもいいって言ったの誰だよ〜」
「ゴメンなさい」

ヤマちゃんは冗談を冗談にさせてくれない。
あそこで俺がノリで『欲しい』と言えば明日俺の手元にはセミの抜け殻が大量にあっただろう。
過去に、そう、あれは忘れもしない高1の俺の誕生日。
俺は自分からヤマちゃんにプレゼントを催促しにいき−−

「じゃあ何がい〜の?」
「うーん、じゃケーキがいいな」
「え〜、ケーキじゃつまんないよ〜!」

つまんないって…

「じゃあストラップ欲しい」
「えぇ〜、俺本やんの好み分かんないよ〜」
「男物なら何でもいーよ」
「じゃ超可愛いウサギのストラップにしよ〜」
「山ノ井さん、俺の話聞いてくれてました?」
「聞いてな〜い」

まったくもぅ…

−−−−高1−−−−
「誕生日〜?」
「そ、俺今日誕生日なんだ!だから何かちょーだい!」
「え〜、何かって何がい〜の?」
「何でもいーよ」
「…じゃあ俺をあげる」
「へ?」
「俺がプレゼント。俺、本やんの恋人になってあげる」
「……わ、わぁー!ありがとー、スゲー嬉しー!」
−−−−−−−−−−−

初めは冗談だと思って冗談で返した。なのにヤマちゃんは本気だった。

「じゃあ去年と一緒で今年も俺の恋人の継続をお願いします」
「は〜い。いや〜、でもまさか本やんが本気にしてたなんて思わなくてさ〜。てっきりやめろよ〜とか言うと思ってたのに」
「ぇ、だってヤマちゃんが本気にしてたから…」
「え、それは本やんがあからさまに俺を意識してたから…」
「だ、だってそれはヤマちゃんが俺にベタっと抱き着いてきたから…」
「…ま、いっか〜。今はお互い好き合ってるんだし」
「そだね」
「じゃ本やん更新料ちょ〜だい」
「えぇっ?!お金取るの?!」
「へっへっへっ、払えなかったら身体で払ってもらおぅか」

ガバッとヤマちゃんに押し倒された。

「うぉっ!きゃー、助けてー」
「大きな声を出しても無駄だ〜、ココには人‥」

ガチャ

「…………」
「…………」
「………人ン家で何してんだお前らはー!」

バシンと雅やんに頭を叩かれた。

「痛った〜!取り立て屋と被害者ごっこしてただけじゃん〜!」
「俺の部屋ですんな!あ、モト、はい」

カサと紙袋を渡された。

「明日誕生日だろ」
「あ、ありがと雅やん」
「もしかして俺一番乗りか?」
「ブー!俺が1番なのでした〜」
「ふーん。何渡したんだ?」
「俺〜」
「は?」
「だから俺をあげたの。毎年そうなんだよ〜」
「モト…それでいいのか?」
「セミの抜け殻を貰うのに比べたら幸せ」

END
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ