もみじ饅頭2

□必要ない
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「ね、阿部ってクラスの女の子の名前言える?」
「は?」

【必要ない】

「あ、しのーか以外な」

いきなり水谷がおにぎりを食ってる時に話しかけてきた。

「………えーと……」

誰がいるっけ…。
今日休みの奴…いねぇか。

「えぇっ、マジでわかんねーの?!」

黙れクソレフト。

「だって普通喋んねーだろ」
「普通喋るっしょー。ねー、花井」
「へ?あ、あぁ」
「…マジ?」
「あぁ、まぁ一応は」

マジかよ…!
まぁでも…

「別にいいだろ」

と残り一口大のおにぎりを口に入れた。

「…阿部って女の子に興味ないの?」
「は?」
「だって阿部がモモカンとしのーか以外と喋ってんの見たコトないもん」
「喋る理由がねーだろ」
「牛乳おかわりいる人ー!」
「あ、篠岡、くれ」
「はいよー」
「しのーか、オレも!」
「はいよー」

・・・・・・。

そして練習が終わり用具室で用具を直している時に篠岡がボールを持ってきた。

「あ、阿部君。お疲れ様ー」
「おー、お疲れ」
「………あの…」
「何?」
「さっきの…話し…」
「さっき?あぁ、水谷の?」
「う、うん。あの…何で名前…」
「は?名前?」
「あの、その…お、女の子の…名前…」
「あぁ」
「ホントに知らないの?」
「あぁ、だって覚える必要ねーじゃん」
「な、何で?」
「お前の名前だけ知って喋ってりゃそれで十分だろ」
「ぇ…」
「俺達付き合ってんだからさ」
「ぁ…はは…」

顔が真っ赤な篠岡。

「どーした?」
「あ…ううん…何でもない…!先戻ってるね!」
「おぉ」

…何だ?

「あれ、しのーか」
「うわぁ!た、田島君」

何だ田島か。

「ん?何かイイコトあったのか?」
「へ?」
「何か嬉しそうだからよ!」
「な、何でもないよー」

何だ、嬉しかったのか。

「可愛いートコあんじゃん」

と俺は1人用具室でニヤけていた。

END
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