もみじ饅頭2
□ヤキモチと不意打ち
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「ね〜ね〜、自販機寄ってこ〜」
「おー、賛成ー!」
俺と本やんは体育の授業の後自販機に寄った。
「本やんドレする〜?」
「サイダーにしよっかなー」
「俺のオススメはね〜、コーンスープ〜」
「ちょ、俺死ぬから!」
と二人で楽しく喋ってると−−
「あ!やっと見つけた!」
【ヤキモチと不意打ち】
「おー、慎吾どしたー?」
慎吾がダッシュで俺達の所にやってきた。
「…い〜やらしんごがやってくる〜お腹を空かせてやってくる〜」
「ぶはっ!ヤマちゃんその歌最っ高!!」
「でしょでしょ〜?」
「聞こえてンぞコラ!誰がいやらしんごだよ!」
『慎吾』
「…もーいい。お前らと話すと余計に体力消耗する」
「きゃ、慎吾さんいやらし〜」
「ホントホントー」
「あのなぁ…!!」
「で、何しに来たの?」
「あ、そうだ!ドッチか体操服貸して!」
『何で?』
「忘れたんだよ」
「うわ〜高3にもなっていやらし〜」
「いやらしいは関係ないだろ!本やん頼む!」
ドッチかの時点からずっと本やんの方を向いていた慎吾。
…何かムカつく。
「いいけど今終わったばっかだし汗かいてたし濡れてるよ?」
「大丈夫!洗濯して返すし!」
「いや、別に洗濯まではいいけど…ちょっと待ってなー」
…本やんは俺といる時は俺の悪ふざけにノってくれるしたまには本やんからふざける時もある。
けど、俺以外の人といる時の本やんは真面目だ。
だから時々思う。本やんは実は俺に合わせてくれてるんじゃないかって。
「ぇ、下もいる?」
「頼む!」
……本やんの体操服…。
「ほい」
「おー、サンキュ‥」
気が付いたら俺は体操服を受け取ろうとしていた慎吾の手をパシッと払っていた。
「…………」
「ヤ、ヤマちゃん…?」
はっと我に返ったがもぅ時既に遅し。
「…し、慎吾なんかいやらしいんだから裸で授業すればい〜んだよ!」
「何だよソレ!」
「…そうだな。慎吾、お前はいやらしいんだから裸で体育しろー」
「も、本やんまで?!あーもーいい!利央に借りてくる!」
ダッシュで去って行った慎吾。
「…ヤマちゃん」
「ん〜?」
「俺スッゲー嬉しかった!ありがとな!」
「ぇ、何が?」
「だって俺が体操服慎吾に貸すの嫌だったんっしょ?俺はヤマちゃんがそこまで俺のコト大事に想ってくれてて嬉しー!」
「…不意打ち過ぎ」
「え、何?聞こえない」
「俺も本やんのこと好き〜」
「俺もー。やっぱヤマちゃんだけだよ」
「何なに〜?」
「一緒にいてて楽しーのヤマちゃんだけだよ!」
「…それ他の人に絶対言わないでね〜」
「言わないってー」
ホント、可愛いんだから。
独占したくなるの俺だけじゃないよ、絶対。
「にしてもヤマちゃん独占欲強すぎ」
「だって俺だって裕史の体操服(汗付き)借りたことないのに慎吾が借りるの嫌だったんだもん」
「…………」
「どしたの?」
「い、今裕史って…」
「ぇ、名前違った?」
「いや、そうだけど珍しーね」
「俺だってたまには呼ぶよ〜」
ホントはさっき不意打ち喰らったからそのお返しなんだけどね。
現に本やん顔真っ赤だし。
「じゃ俺もけーすけって呼ぶ」
「い〜よ、ゆーじ」
「けーすけ」
「ゆーじ」
俺達はお互いの名前を呼びながら教室に戻って行った。
おまけ
「……タケ、何だアレ」
「…聞くな」
「気持ち悪っ」
「お前だって一緒だぞ」
「俺はいーんだよ。相手が和さんだからな!」
「……意味不明」
「なー」
「いや、お前が」
END