夕焼け色の小説

□マシマロ
1ページ/2ページ

「あっれ〜?」
「どうしたんだよ」

白蘭は引き出しや棚の中をかき回し、なにやら探し物をしている。
ミルフィオーレのボスが一生懸命になってまで探す姿を見て、綱吉は面白そうに眺めていた。

「ねぇ綱吉クン。
僕のマシマロ知らない?ないんだけど」
「それなら隠してあったやつも全部、入江さんに処分してもらったよ」
「ちょおおおおおぉぉぉ!!!!??」

ありえない・・・。人のおやつを勝手に捨てるなんて・・・!!

「うわぁぁーん!!綱吉クンのばかぁー!!
鬼!悪魔!閻魔大王!地獄の死者め!」

ドキャ!バキッ!!メキャ!

かなり嫌な音がしたが、綱吉は容赦なくハイパーモードで白蘭の腕をひねり上げる。

「タンマ!ストップ!!
このままじゃ、僕死んじゃう!」
「死んでしまえ。っていうか、もう人に生まれてこないで」
「イヤイヤひどすぎるよ。ソレ。
綱吉クンて天使みたいなイメージあったのに、何でこんなに悪魔なんだろう」
「悪かったな。悪魔で。
10年というのは人の人格を変えるのに十分な時間だということを知ったよ」
「めちゃくちゃ知らなくていいことだと思う」

白蘭は涙目で財布を手にする。

「待った。どこいくんだよ」
「・・・?マシマロ買いに行こうと思って」

部屋から出て行こうとする白蘭を、ものすごいスピードで綱吉は止めた。
というよりー・・・

殴った。

「いったー!!何すんのさ!」
「マシュマロを買いに行かれたら処分した意味がない。
いっそのこと、その財布も処分しようかな。
中身だけ預かっとくから」
「それ僕のお金を取ろうとしてるよね!?
確実に」

白蘭は仕方なく財布をしまい、ソファに腰掛けた。
暇そうにしていると、綱吉が話しかけてきた。

「お前仕事は?」
「サボりぃー。めんどくさいし」
「入江さんが困ってたぞ。
白蘭が仕事してくれないって」
「いーもん。僕は綱吉クンのために生きてるよーなモンだから」

どんな理屈だよ、それ。
っていうかオレが好きだからオレのために生きてるとか、馬鹿じゃないのかと綱吉は思った。
だってオレは別に白蘭のこと好きでもないし、好きになれない。

でも、それでも白蘭があきらめないのを見ると、一生コイツはあきらめないつもりだな、
なんて思う。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ