夕焼け色の小説

□ただ君がー・・・
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広くて白い部屋ー・・・
1人が住まうのにはもったいないくらいの広さ。
なのに、そこにいるのは現在2人だけ。
黒と白の対称的な2人・・・。

「僕に何か用でもあるの?」
「別に?特に用はないよ」
「じゃぁなんで僕をここへ連れてきたの」

笑っていた白蘭の顔が、黒い無表情に変わる。
鋭い目を雲雀に向けて。

「何で・・・?理由なんて必要ないじゃない。
僕が雲雀チャンをここへ連れてきたかったからー・・・。
それだけだよ」
「それが理由?だったら君は命知らずだ。」
「命知らずは雲雀チャンじゃないの?」

白蘭の目と雲雀の目がお互いを射抜くように見つめあう。
雲雀はかすかに冷や汗を浮かべる。

「雲雀チャンを縛ってもいないんだし、何で逃げないのさ。
普通なら、とっくにそうしてるよ?」
「普通ならー・・・ね」

おぞましさを感じさせる笑みをうかべて、雲雀は白蘭の首に手をかける。

「僕は理由があるから逃げないんだ」
「理由?なんだい、それ」
「白蘭が好きだから」

思いがけない答え。
一瞬、白蘭の表情が歪んだ。

「ふざけてる?」
「ふざけてないよ。君になら命を預けられると思ってる」
「ハハッ面白いなぁ。
第一、僕らは敵同士だ。そんなのー・・・」
「最初に好きになったのは君のほうだろ」

見抜かれていた。
当り前か、と白蘭は思う。
こんな分かりやすい愛情表現、ほかにないよ。

「いいの?僕なんかを好きになっても」
「うん。そっちこそ、後悔しても知らないよ」

たとえ敵だとしても、変わらない。
ただ君がー・・・好きだということ。

END
思ったより短くなりました・・・

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