夕焼け色の小説

□君の手
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寒くて、冷たい。
この前まで暑かったのに、急に冷たい風が吹き出してきた。
枯れ葉が小さな竜巻のようにくるくる舞い、通り過ぎていく。

ベルは公園のベンチで身を縮めて、手に息を吹きかけた。

「寒い・・・・」

公園にはベル以外誰もいなくて、さみしくみえた。
ベルはこんなに寒いとは思わず、マフラーを忘れてしまった。
外に出かけたのは単なる気まぐれ、というヤツだった。

「こんなところで何をしているんです?」

いつ現れたのか、骸が温かそうな格好をして立っていた。

「六道・・・骸・・・?」
「そこでクエスチョンマークですか・・・
傷つきましたよ・・・」
「別にそんなつもりなかったもん」

ベルは関係ないというように骸から視線をはずした。

何で骸が公園にー・・・

ベルが警戒して骸を見つめていると、骸が笑った。

「安心してください。別に危害を加えるわけじゃないですから」
「じゃあ何で来たんだよ」
「君に会うためー・・・ですかね」

骸の言葉に、思わず顔を赤くしてしまう。
こんなやつに好意なんてー・・・

「どうせオレの後ついてきたんだろ、この変態」
「ひどいですね!そんなことないですよ!
ベルがいるのが見えてー・・・」

骸の言葉がつまってくる。
ベルはやっぱりついてきたのかな、と思う。

「とりあえずさぁ〜・・・王子に会ったし、もう用はないだろ。
さっさとどっか行けば?」
「いいえ?まだありますよ」

骸は自分の巻いていた黒いマフラーをベルに差し出した。
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