書庫
□sweet time
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あ〜〜〜。
なんかへこむ……。
だいたい、なんでそんなに隠したがるんだ?
僕と付き合ってること、そんなに恥ずかしい?
だったら、なんで付き合ってるんだよ。
廊下を歩きながらだんだんイライラしてきて、頭の中には水野さんへの悪口ばかりが浮かんでしまう。
美術室に入ると、同じ美術部の人たちが数人、絵を描いていた。
僕も自分のキャンバスを出してきたけど、今はどうしてもこの絵を描く気になれない。
絵の具を塗りかけた一枚の絵………。
そこには、ピアノをひいている女の子が描かれている。
もちろん、水野さんだ。
それは僕が、初めて水野さんがピアノを弾くところを見た時に感動して描き始めたものだった。
水野さんを想って、ここまで愛情を込めて描いてきた絵だ。
今みたいな気持ちで描いて、だいなしにしたくない…。
僕は仕方なくまたキャンバスをしまうと、机に突っ伏した。