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□水玉ピンク
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昼休み。
今日は曇っていて風も強く、少し外にいるだけでも体が冷える。
中庭には深華の他には誰もいなかった。

松本くんの真意が知りたい…。
本気なのか、冗談なのか…。

深華が緊張しながら待っていると、しばらくして晶がやってきた。

「よう。待たせたか?」
「ううん。
それで……あの手紙、どういう意味?」

深華は開口一番、晶に訊ねた。

「どうって?
別にそのまんまの意味だ。
つきあわないかって書いてたろ?」

「だって、別に私のことが好きなわけじゃないんでしょ?」

「まぁな」

「………………。」

予想はしてたけど、あまりにあっさりと肯定されて、深華は落ち込む。

「…じゃあ、なんでつきあおうとか言ってくるのよ」

「好きなわけじゃないけど、興味ならある。」

「…興味?」

「お前は隣のクラスだし、他に接点もないから、つきあうのが一番手っ取り早いかと思っただけだ」

はい……?
深華は絶句する。

手っ取り早い?
そんな理由でつきあおうって言ってるの?
変な人……。

「お前がいやなら、別にいい。
でもお前、俺のこと好きだろ?」

…………………。
晶がなぜか自分の気持ちを知っていることに、深華は驚いて訊ねた。

「なっ…なんで?」

「見てればわかる」

そんなに、バレバレだっただろうか…。
こんなに自信満々に言われては、今更ごまかしても無駄だろう。
深華は一つ深呼吸をすると、思い切って晶への気持ちを白状する。

「………………そうよ。
私は、松本くんが好き。
…悪い?」

なんだか喧嘩ごしのようになってしまったが、深華は潔く告白した。

「クックッ………」

それを聞いて、晶が肩を震わせて笑っている。

「…お前、変な奴だな。
やっぱ面白い」

晶は笑いながら訊いてくる。

「…どうする?
俺とつきあうか?
そして、俺を本気にさせてみろよ」

ずいぶんな上から目線だ…。
でも、悔しいが、惚れた弱みだから仕方ない。

「………………わかった。
あなたとつきあう」

「よし。
じゃあ、今からお前は俺の女だからな」

「………うん」

私が、松本くんの女…。
嬉しい……。
深華は喜びを隠すことなく、頬をそめて微笑んだ。
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