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□お菓子な訪問者〜はじまりの夜〜
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ママおそいな〜。
まだかなぁ…?
空はすっかりピンク色から群青色へとかわり、子どもたちの帰ってしまった公園は薄暗くてとても寂しい。
小さな女の子が一人きりブランコに座ってじっとママを待っていた。
「あ、お星さま!きれ〜」
ぴかりと光る一番星。
誰かに一緒に『きれいだね』って言ってもらいたいのに、公園にいたお友達はみんなママが迎えにきて帰ってしまって優里(ゆうり)は一人ぼっち。
「だれかいないかな〜?
よ〜せいでもまほ〜つかいでもあくまでもいいから…」
この前パパがくれた本に載ってたのを思い出して言ってみる。
ゆうりはよ〜せいがきれいで一番すきだけど、パパはまほうつかいもあくまもやさしいんだよって言ってたから、あくまでもいいや。
「だれかいませんか〜!
よ〜せいさ〜ん!
まほ〜つかいさ〜ん!
あくまさ〜ん!
……………」
きょろきょろ辺りを見回すけど、誰もいない。
やっぱりみんなお話の中だけなのかなぁ。
「だぁれもいない…」
しょんぼりして足元を見ていると、上から声がした。