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□俺の隣〜私の隣2〜
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土曜日の朝。

俺は、隣に住む幼なじみの家を訪ねた。
といっても、ただの幼なじみだったのはつい昨日までのことで、今は奈々ちゃんは俺の彼女だ。

今日は高校は休みだけど、奈々ちゃんがどこかに出かけたいというので、俺はこうして朝早くからやってきた。


いつものように、奈々ちゃんの家の玄関のドアを開けて、大きな声であいさつをする。

「おはようございま〜す」

「あら、央ちゃんおはよ〜。
奈々ならまだ寝てるから、お願いね〜」

リビングから、奈々ちゃんのお母さんの声が聞こえた。

毎朝起こしにくるので、奈々ちゃんの家の玄関は、顔パスならぬ声パスだ。

俺はそのまま二階へ階段を上り、奈々ちゃんの部屋のドアをノックした。

こんこん。

予想通り、返事はない。
ドアを開けて中に入ると、奈々ちゃんはベッドに仰向けになって、軽く万歳をしたポーズで眠っていた。

無防備な彼女の寝姿など、これまで何回みたことか…。
なのに、今さら見慣れているはずの奈々ちゃんの寝姿を見て、自分が赤くなっているのを自覚した。

自分の彼女だから、変な気分になるのかな……
何をしても許されるような……
いや、そんなことはないだろうけどさ。
一人でつっこみを入れてしまう。


奈々ちゃんは寝相が悪いから、いつも毛布はほとんど床に落ちている。
さらに今日は、水色の水玉柄のパジャマが、かなり上までめくれて、奈々ちゃんの白いお腹が見えていた…。

「……………………」

俺は、なんとも無防備な彼女の寝姿を、ちょっとだけ堪能した。
その後で、そっとパジャマの乱れを直してあげる。

「…寒いのに、お腹出してると風邪引くよ。」

すると、奈々ちゃんがもぞもぞと寝返りを打った。
あ、起きたかな?

「ん〜…お〜たぁ〜……すきぃ〜…」

奈々ちゃんは、甘えたような舌っ足らずな声で寝言を言うと、体を横にむけてまた眠ってしまった。

…………………。
そのセリフは反則だよ…奈々ちゃん…
胸が、ドキドキしている。

「……そんなに無防備に寝てていいの?」

目の前で、自分の彼女が眠っていて、しかもかわいい寝言まで言ってくれて…。
こんな状況で、なにもしないでいられる男がいるんだろうか?

俺には………無理。

俺は、彼女に手を伸ばしたい衝動を抑えることができなかった。
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