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□お菓子な訪問者1
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そんなことを考えながら男の人の方を見ていると、その人は、もう一度言った。
「trick or treat?」
この人…大丈夫?
もしかして、変質者?
かっこいい顔立ちにうっかり警戒がうすれていたのかもしれない。
一人暮らしの女の家に知らない男がやってきたら、まず警戒するべきだった。
私の頭は、ようやく目の前の男を危険だと判断した。
頭の中で激しく警鐘がなっている。
「お菓子はありませんから、帰ってください!」
言いながら、急いでドアを閉める。
………が、ガツッと隙間に手をかけられ、強い力でドアが外側に開かれた。
「きゃっ…!」
入り口にギリギリで頭がぶつからないくらい背の高い男が、ゆっくりと玄関に顔を覗かせる。
「な、何ですか…!」
私の問いには答えず、男は無表情で家の中に入ってきた。