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□お菓子な訪問者〜はじまりの夜〜
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「呼んだ?」

優里が顔を上げると、目の前にかっこいいお兄ちゃんが立っていた。

「きみ名前は?」

「……ゆうり」

小さな声でぽつりとつぶやく。

「じゃあゆうり、俺と一緒に遊ぶ?」

「…うん!!」

優里は笑顔で頷いた。

お兄ちゃんはブランコや滑りだいやシーソーでたくさん遊んでくれた。

気づくと、空にはたくさんのお星さま。

「うわぁ!お星さまがいっぱい!」

「本当だ。きれいだね」

「うん!きれ〜。
あ!お兄ちゃんのおめめにもお星さま!」

「あはは。ゆうりの目の中にもお星さまがいっぱいいるよ」

優里がえへへと笑う。
ふと、なにかに気づいたように目をまぁるくした。

「お兄ちゃんのかみの毛、お星さまみたいにキラキラしてる!」

「俺の髪は真っ黒だよ?」

「でも、光ってるよ!
それにサラサラですっごくきれ〜!」

「…ありがとう」

「いいなぁ。
ゆうりのかみはてんねんでクルクルだから、お兄ちゃんみたいにきれ〜じゃないの」

「ゆうりの髪、ふわふわしてて、お姫様みたいにとってもきれいだよ」

「本当?」

「うん。
俺はゆうりの髪大好きだよ」

優里はぱあっと明るい笑顔になった。

「ありがとう。
お兄ちゃん、また明日もゆうりとあそんでくれる?」

「いいよ。
ゆうりが心の中で強くお願いしたら、俺はいつでもゆうりに会いに来るから」

「わぁい!
お兄ちゃん、だぁいすき!!」

「…じゃあ、俺のお嫁さんになる?」

「およめさん?
まっ白いドレスきてけっこんすること?」

「そうだよ。
そしたら、いつも俺と一緒にいれるよ」

「およめさん、なる〜!」

「じゃあ、約束」

「やくそく〜」

二人は小指と小指を結んで微笑みあった。
お兄ちゃんが優里の小さな赤い唇にちょこんとキスをする。

「いまのな〜に?」

「約束のキスだよ」

優里は口に手をあててうふふと笑った。


「優里〜!
ごめんね〜遅くなっちゃって」

その時、公園の入口から声がした。

「あ!ママ!!
おかえりなさ〜い!」

「ただいま。
ごめんね。寂しかったでしょ?」

「ううん。
このお兄ちゃんがあそんでくれてたから…あれ?
いない〜」

たった今まで横にいたのに、お兄ちゃんはいなくなっていた。

帰っちゃったのかなぁ?
明日、またあそんでくれるかなぁ?

優里はママに手を引かれて帰っていった。
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