書庫

□お菓子な訪問者3
2ページ/29ページ

「ところで…」

急に、悪魔は声のトーンを下げてきた。
な、なに?

「俺、お腹すいてるんだ。
なにか食べさせてくれない?」

「…へ?」

「さっきからいい匂いがしてる…。
これなに?」

フライパンの中の作りかけの料理を指差して、悪魔が訊いてきた。

「オムライスだけど…」

私が答えると、悪魔から意外そうな返事が返ってきた。

「優里、料理できるの?」

「失礼な!
料理くらいできます!!」

「へ〜。
さすが女の子だね〜」

「う……まあ、少しならね」

ちょっと自信がなくなって言い直すと、悪魔はフッと笑った。
……バカにされてる。

「オムライスかぁ…いいなぁ。
食べてみたいなぁ」

悪魔はエサを前にした子犬のようにキラキラした目で私を見ている。

「おなかすいたなぁ…」

今度は捨て犬みたい…。
………仕方ないから、作ってあげてもいいかな…

「ダメなら、優里を食べさせてくれてもいいんだけど」

「!?な…なな…!」

こいつ!
さっき謝ったばかりなのに、全然こりてない!
やっぱり、許してやるんじゃなかったっ!


こんなやつに手料理なんか作りたくない。
だけど、作らなかったら、また襲われるかも………。

ごくん。

…仕方ない。
背に腹はかえられない。
私はしぶしぶ了承した。

「わかった。
作ればいいんでしょ」

「本当?
やったぁ」

性悪悪魔は、脅したくせに嬉しそうに笑った。
私は仕方なく二人分のオムライスを作り始める。
なんで私が……。

こいつの分のお肉は少なくしてやる!

我ながらせこいけど、せめてもの腹いせだ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ