未来もその先も

□恋しくて
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恋しくて





忙しさに理由つけて夜は一人で寝ていたリヴァイ。
それでも、壁外調査になるとエレンは黙ってリヴァイの近くに居た。
いつもなら、泣きそうな顔するか容赦なく抱きついてくるかのどっちか。
大人しいエレンに逆に気持ち悪いとエレンを見ていた。

『…なんですか』
『いや』

日も暮れた壁外での巨人にボロボロにされた村の陰。
各テントは寝るまでそれぞれの事をしていた。
一応エレンのテントに寄ってみたが姿が無く。
無意識に探していると川辺に座っていたエレンの背中。

『最近……』

その言葉にリヴァイは空を見上げていた顔を下げると座っていたエレンと目が合った。

『なんだ』
『最近、オレ……辛い』

今になってすぐにでも欲しそうな顔をする。

『仕事が忙しい』
『わかってますって……』

期待した自分がバカだと思ったのかエレンは膝抱え顔をうずめた。

『もう、いいです』
『どういう意味だ』
『そのまま』

既に泣きそうな声で。
そんなエレンにリヴァイは見つめるとその場から去っていく。
毎晩泣いてんだろうかアイツは。
そう思いながら。

無事戻ってきた壁外調査。
その夜もエレンは一人部屋で。
そうそうにベットに潜り込んだ。
廊下から時々聞こえてくる仲間の声。

『……だーかーらー、そういう所がおっさんだってば』
『誰がおっさんだ』
『ったく、本当に…あのさ、仕事で納得いくわけないじゃん』
『それしか理由ねぇだろうが』

ふと聞こえてきたリヴァイとハンジの声にエレンはベットから出てドアに近づき聞き耳立てる。

『しかも、もういいとか言い出しやがって、さっぱり俺にはわからねぇ』
『ハァ……』
『終わりと言うことなのかよ』
『さあ?それは本人に聞いてみたら?…とにかく、リヴァイの場合もう少し……なんて言うか、口に出した方がいいんじゃない?』
『………』
『リヴァイはどうなの』
『何がだ』
『エレンの事……』

自分の名前が聞こえてきて驚いて思わず物音たててしまった。
すると話が突然止まる。
ヤバいと思いつつ動けない自分が居て。

『……テメェ、わかっててここで足止めしただろ』
『なんの話?』

不意に開いたドアにエレンはうつむいた。

『どこから聞いていた』
『………ほぼ始め、から』

ため息ついて頭抱えるリヴァイ。
少しの不安の言葉も聞かれた事になる。

『じゃ、後はお二人さんで』

そう去っていくハンジに暫くの無言が続いた。



桜も散った季節。
日中はあったかく散歩中の人が多い。
涼しげに流れる川に、近くにあったベンチにリヴァイは座った。

「…学校は」
「今日、午前授業……今朝オレ言ったのに」

聞いてくれなかったとエレンは呟く。
遅く帰ってくるようになったのは残業。
新しいプロジェクトで毎晩のように。
それを待てなくてエレンはベットじゃなくソファーに寝ている。
朝もそんな会話が無くお互いに出て行く。

「仕事が忙しいのは確かだ……それにな」

何故か舌打ちするリヴァイにエレンは見た。

「余り……言いたくないんだが…最近、疲れが取れねぇんだよ、それこそ年で誤魔化したくねぇんだが昔とは全く違うからな」

ため息ついてそっぽを向く。

「…だから、嫌とかじゃねぇ…」
「本当…ですか?」
「あぁ…」

すると鼻をすする音が聞こえまさかと見ると案の定エレンは涙目だった。

「…また」
「またって、そう言う言い方ないじゃないですか……オレ本気で悩んだし」
「だから…」

言いかけて止めたリヴァイ。
すると会社から電話が来た。

「……今戻る」

切ると立ち上がる。
拭う涙にリヴァイは見る。

「今夜も無理だ……とりあえずプロジェクトが終わったら思いっきり甘やかしてやる」
「…はい」

周辺を見渡し誰も居ないとわかるとリヴァイはエレンの制服のネクタイを引っ張り体低くしたエレンの頬にキスを落とした。

「今はこれで我慢しろ、な?」
「はいっ」

キスだけでも嬉しそうな顔するエレン。

「ったく、ゲンキンなやつ」

小さく笑うと手を上げ歩き出した。

「頑張って下さい!」
「あぁ」


眩しい昼間。
エレンは自転車に乗り爽快に部屋へと帰って行く。
数時間後……リヴァイからメールが来た。


【 だからって一人でヤったら削ぐ 】

そんなメールに内緒で風呂場で出した数日前の言葉言わないでおこうと決めた。






End  2014/05/19up

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