未来もその先も

□少し夏に近づいて
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少し夏に近づいて





今日は妙に気温が高い。
訓練しても掃除しても汗だくになる。
気分転換がてらに近場の河原に。
そのまま冷たい川に入っていきたいと思うエレン。
自分的にはいいがリヴァイはどうだろうと。
オルオやペトラが向こうでなにやら夫婦漫才なみに会話してるのをよそに。
我慢出来なくてエレンはブーツ脱いで片足を川に突っ込んだ。

『気持ちいい…』

こんな綺麗な川。
周りには静かな野原。

『……おい』

突然の声に足元がぐらつき見事川に座り込む。

『鈍感』
『突然声かけるからですよ…ったく、もう』

濡れたエレンを見るとリヴァイは見上げた。

『確かに今日は暑いな』
『ですね』

再びエレンを見ると差し出してくる手。
それは前髪に。

『伸びたな』
『あ、髪ですか?』
『切るか』
『確かに……切りたいです』

離された手にエレンも前髪を弄る。

『切ってやる、戻るぞ』
『え…って、ちょっと待ってください』
『なんだ』
『………乾くまで』



庭の木陰。
椅子に座ったエレンの後ろにリヴァイがハサミを持って立つ。

『あの、質問なんですが』
『なんだ』
『兵長はどこで』
『俺は切りに行ってる』
『なら、オレもそこに連れてってくださいよ』
『俺だと不安か』
『不安……というか、多少……怖いかな、と』
『誰がお前の髪を他のやつに触らせるか』
『え…』
『いいから黙って前向け』

ジワジワとリヴァイが言った意味がわかりエレンの顔は赤くなってくる。


髪を切る音。
小鳥たちの鳴き声。
柔らかい風がふく木陰に、エレンは疲れかウトウトし始めた。



「はい、終了」

その声にエレンは目覚める。
目の前の鏡にはスッキリした自分。

「随分気持ち良さそうに寝てたね」

美容室の男性のスタッフがエレンの髪を整えながら言う。

「……学校終わってからバイト、行ってるから」
「へぇ、高校生?」
「あ、はい」
「どうりで、住所が近所なのに名前がって」
「変ですか?」
「俺としちゃ、ありがたいよ……実は外国語苦手でね」

苦笑いしたスタッフは完了と。

「良かったらまた宜しく」
「はいっ」


髪を切ってサッパリしたエレン。
気分も上がり、待ち合わせ場所に向かった。
日曜出勤のリヴァイが、そろそろ終わり一緒に昼食取るために。





End  2014/05/30up

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