未来もその先も

□雨の花嫁
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雨の花嫁



半分冗談、半分本気。
そんな中、最近周りがどうにも出来なくて密かに遂行する事になった。
当の本人達はバレてないと思ってるんだろうが……
一時ののどかなある日。


『兵長…』
『なんだ』
『なんか今日は静かですよね……誰も居ないと言うか……兵長とオレだけの世界、みたい……な……』

最後の方で、エレンはリヴァイに呆れた顔で見られる。

『…すみません、言い過ぎました』

落ち込むエレンに、リヴァイはやはり気になったのかドアを見つめる。

『……あらがち間違ってないかもな』

ペンを置くとドアに向かう。
いつもならどこかしらから声が聞こえてくる。
なのに今日は。
リヴァイはドアを開けると廊下で耳をすました。

『兵長?』

来たエレンを一旦見ると歩き出す。

『どこ行くんですか』
『エルヴィンの部屋だ』

大人しく着いていったエレンだが、本当に静かすぎる本部内に、思わずリヴァイの上着の裾を掴む。

エルヴィンの部屋の前、ドアを開けるとそこにはいつものように仕事しているエルヴィンの姿。

『リヴァイ』
『皆は』
『?…居ないのか?』
『そうらしい……妙に静かすぎる』
『気のせいじゃないのかね?』
『…いや』
『それより、エレン……さっきハンジが探していたよ、食堂に居ると言っていたから行ったほうがいい』
『あ、はいっ』

慌てて出て行くエレンにリヴァイはエルヴィンを少なからず睨んだ。

『何を考えてる』

黙ったまま見るエルヴィンにリヴァイは舌打ちした。

『どうせ、ろくでもねぇ事だろ』
『それを決めるのはリヴァイだ』
『なら、教えろ…話によっちゃ、やらねぇ事もない』
『じゃあ、リヴァイには着替えて貰おうかな』


意味深な笑みを浮かべエルヴィンは席を立った。




『……これ』
『そ、いや〜知り合いに頼まれたんだけど、サイズ的にエレンしか合わないと思ってね』
『でも、これ……女性が着るんじゃ、オレ男ですよ』
『胸辺りはどうにかするよ、試しだから…サイズ合わせもあるし?ね、エレン』

お願いしてくるハンジにエレンは苦笑いして。

『……じゃ、そのサイズ合わせってのやったらすぐ脱ぎますから』
『うん!うん!』



『……おかしいだろ』
『どこが』
『これ、明らかに』
『そうだね』
『じゃねぇだろ!さっさと理由教えろ!』
『仕方ない……リヴァイ、これは任務だ、その服を着てある場所に行って欲しい』
『……真面目なツラして、何言ってんだ』
『とにかく、今日は素直に頼む』



『ハンジさん……どうですか?』

エレンの後ろの裾を弄るハンジを振り返り見る。

『ん〜…待ってね』
『………はい』

肩だけ出るその衣装に違和感感じながら、エレンは黙ってその衣装を見つめた。

……このまま、もし兵長に会ったら。

恥ずかしいのと、逆に見てもらいたいのの気持ちが混じる。

『エレン』
『あ、はいっ!』
『ごめん、ちょっとそこ座ってくれる?』
『……わかりました』

きっと赤い顔してるかもしれない。
ハンジにわからないように俯いたままエレンは椅子に座った。

『どうせならさ……』

と、ダンボール箱から取り出したベール。

『え……』
『イメージ、イメージ』
『いや、あの……ハンジさんっ!』

突然の開いたドアにエレンは心臓飛び出る程驚いた。
そこにはペトラ。
何か言い足そうな顔しつつ。

『ハンジさん、まだですか?』
『もしかして、もう来た?』
『もう少し…やっぱり、向こうもちょっと』
『……へぇ』

あえてペトラが目を合わせないのに、エレンは真っ赤になり俯いた。

『あの……』
『ん?』
『誰にも、言わないで下さい………兵長にも』
『もちろん』
『だから、エレン……この際本格的にやってしまおう!』
『へ……えぇっ!』






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