本〜オリジ〜

□廊下側の一番後ろのジミな私は、窓側の一番前のほぼ不登校の彼に恋をした。
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廊下側の一番後ろのジミな私は、窓側の一番前のほぼ不登校の彼に恋をした。
そんな彼には変な噂がある。
ある人はヤバい系の人とつるんでるって言うし、すごくオタクって言う人もいるし、あるいは、鎌倉時代の武将が前世で、夜な夜な人を襲っているという人もいる。


そんな彼を好きになったきっかけは、ある日の図書室。
私しかいないと思っていた夕暮れの図書室で、彼は教室と同じように窓側の席に座っていた。

ハーフとは聞いたことはないけど、金髪なその髪が夕焼けの光に反射していつもよりキラキラと見えた。

もっと見たいなぁと思って、少し勇気を出して、私は彼が座っている席から二番目の席に座った。

ふと視線を落とすと、見慣れた本――

「あ、それ知ってる」

ぽそりと呟いたその声は私達以外は誰もいない教室に思った以上に響いて、

「っ!!!??」

え…そんなに驚くの?ってくらい驚かれた。
(それこそ、ズザザッって漫画みたいな音がしそうなくらい。)


「ご、ごめん…ね」
「……いや、」


…………………………。
か…会話…しなきゃ?

そんな事を思っていたら、意外にも彼が先に口を開いた。


「……中原さん、だっけ」
「え?う、うん、えっと…木曾君、で合ってるよね?」
「ん」

面と向かって話すのは初めてで、(っていうか、クラスの男女共にあんまり話したことない)少し緊張する。

「…その本、面白い?」

木曾君の白くて細い指が私が持っている本を指す。

「うん、あ、読む?もう少しで終わるよ」
「いい」

即答て。

「でも、感想は教えて」

しゅんとした私に木曾君はにっこり微笑んだ。
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