本〜オリジ〜
□それはある日の地元のお祭りで。
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それはある日の地元のお祭りで。
私は友達と二人で祭りに訪れていた。
誰か一人位はいるだろう。
そんな甘い考えで行った私達は、もう高校生なのだから私達以外の公立の皆はバイトに行っているのだということをすっかり忘れていた。
二、三周ぐるりと出店を回った所で私達は暇になった。
「暇っスねぇ」
「ねー」
二人で祭りの場から少し離れたビルの中で休憩をとった。
「今井ちゃん、化粧してきた?」
「うん、…変かな?」
そんな事しなくても私の数倍は可愛い友達に、私は素直に可愛いとの言葉をかけた。
「暇っスねぇ」
「ねー」
二度目のこの会話。
そこで私は一人の存在を思い出した。
「あ、楯さん、呼ぶ?」
楯さんは今井ちゃんと同じ学校の男子生徒だ。
そして――
私が今想っている人でもある。
「えー、来るかな」
「でも、二人共通の友達でバイトしてないのって、楯さんだけだよ」
「そだけど…もう7時だし」
「ダメ元っつーか嫌がらせっーかでかけてみよ?」
「あー、やってみる?」
「うん」
「で、誰が電話する?」
「じゃんけん」
「…負けた」
「じゃあ今井ちゃんかけて!」
「んー」
でも絶対来ないよねぇとか言いながら今井ちゃんは巾着から携帯を取出し、電話をかけた。
しばらくコール音が聞こえた。
「…出ない」
案の定、彼は携帯に出なかった。
「樋口さんもメールでもしたら?」
と、今井ちゃんに言われ、私は片手に持っていた携帯からメールを打った。
「ね、今井ちゃんもいるって書いていい?」
「いいけど、何で?」
「なんか、そのほうが楯さん、来そう」
psとして今井ちゃんもいるよーと書いて、メールを送信する。
「返事来るかねぇ」
「来ないかもねぇ」
そんな事をいいながら笑いあっていると、
可愛いらしい音楽がビル内に響いた。
「ちょ、電話来た!楯さんから!!」
「え、え、出て!今井ちゃん!!」
「う…うん!」
当たり前なのだろうけれど、電話がかかったのは今井ちゃんの携帯で。
私はビルの階段に座って、彼女が驚いたり笑ったりして会話をしているのをモヤモヤとした気持ちで見つめていた。
やがて、じゃあ、迎えに行く!と今井ちゃんが言って携帯がきられた。
「楯さん、来るって!」
そう言った今井ちゃんは少し顔が赤かった。
「迎えに行く?」
「うんっ、まさか…本当に来るとは…」
「ねー」
そんな事を言いながらビルを出て、駅まで走る。
駅に着くと、電車は遅れていて、私達は長い時間待つこととなった。
「ねぇ、樋口さん」
「んー?」
「こんな時間に、しかも定期の範囲外のこの場所に来てくれる楯さんって優しいね」
「あはは、まさか惚れちゃったー?」
何気なく発したその言葉は、
彼女の頬をもっと染め、
「うん」
はっきりと彼女は頷いた。
私より可愛いくて、性格がよい彼女に、
私は勝てるはずがないと思い、
私の口から出た言葉は、
「応援するよ」
という言葉と、
悔しさを隠した笑顔だった。
(私も好き、なんて言えない)
―――――――
たまにはまぁ、こんなんで。
書くのムズいです。こういう雰囲気。
モヤモヤすんなら自分で電話くらいかけろってツッコんじゃダメですよ。
因みに、今井、樋口、楯は木曾義仲の四天王の三人です。
思いつかなかったので…はい。すいません…。
んー、楯さんはあんまり有名じゃないんですかね?
部誌がボツばっかで進まないー。