111式の恋1◆

□45.振られる
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岩波が長田に言う。

「フラれた」
「おめでとー」
「…………」






「完」














「いや、完ってなんだよ!なんで勝手に終わらせてんの?」
「終わりじゃねーの?」
「ねーよ!」
「今までご愛読ありがとうございました。高橋先生の次回作にご期待ください。最新刊は再来月発売予定です」
「なんで週刊漫画の打ち切りみたいになってんだよ!しかも最新刊の発売予定まで結構先だな!ていうか高橋って誰だよ」
「あぁん?ごちゃごちゃうるせーな、高橋先生よぉ」
「チンピラ!?長田、それ完全にチンピラだよな!つーか俺は高橋じゃないからな!」
「あれ?違うっけ?」
「白々しいにもほどがある。高橋じゃなくて岩波だから」
「似てるじゃん」
「一文字もかぶってねーぞ!」
「漢字二文字ってとこが」
「かぶる範囲広っ!」
「うわー、うぜー。お前のツッコミうぜー」
「ツッコミさせてんのはどこのどいつだよ」
「岩波か!」
「文脈読んでた!?」
「俺が読むのは空気だけだ」
「それすら読めてねーよ」
「だろうな」
「おいこら、どや顔すんな」
「分かってるよ、岩波の顔には負ける」
「褒めてないだろ」
「まーね。んで?フラれたってのはマジで?普通に冗談じゃなくて?」
「いきなり話を戻すなよ。焦るだろ。うん、まぁ、フラれた」
「ストーカーでもしたの?」
「してねーよ」
「それか猥褻物陳列罪」
「捕まってるわ!」
「きゃー、岩波くんこわ〜い」
「…長田サン。今ほどお前を殴りたいと思ったことはありません」
「俺は何回かある」
「うそぉ!?」
「もちろん冗談だ」
「…うおおぉぉ、焦った〜」
「あひゃひゃひゃ。それで誰に告白したの?」
「…それはこの場じゃ言いにくいかな」
「あっそ」
「意外とあっさり引くな」
「代わりに、今度の生徒集会の壇上で教えてくれ」
「どんな嫌がらせだ!」
「岩波くんのことを思って言ってんだよ。感謝しろ」
「1ミリたりとも感謝できん」
「へぇ〜。1ミクロンぐらいは感謝してくれるんだな」
「前言撤回!」
「撤回していいのか?」
「うるせえ!」
「うっせーのはどっちだよ。んで?なんでフラれたんだよ」
「…メールで告ったら好きな人がいるからごめんなさいって」
「あー、王道のフラれかただな」
「こんなもんに王道なんてあってたまるか。あーあ。せっかく緊張して頑張ったのに、告白なんてするもんじゃないな」
「違う!告白失敗は人生を失敗したこととは違う!お前の人生まだまだだ!熱くなれよ!!」
「熱血テニスプレイヤーか!」
「もちろん違う!」
「否定早っ!」
「岩波の人生はまだこれからだって言ってんだよ。フラれたぐらいでうじうじしてんじゃねーよ!」
「長田…お前いいやつだな…」
「よし、そんないいやつにはプリントの答え見せてくれてもいいよな」
「目的はそれか!!」











「……おーい、長田に岩波。お前ら、そろそろまともに授業受けるか、漫才師になるかどっちかにしろー」

教師は呆れた声を出した。



end

2010.11.16

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