腐向けSS
□K
2ページ/2ページ
知ってる【日弁】
「きょうキスの日なんだって、知ってましたー?」
「興味ない」
「なんでー!」
「興味ないものは興味ない。ほら、仕事」
「うわーん」
いつも通りにあしらってやる。キスなんてイベントに乗じてするもんじゃないと思うんだが、どうしてこうもこいつはイベントごとが好きなんだろうか。
とは言えこうしてコロコロ変わる表情を見ていると、それもありかと思ってしまうのは……惚れた弱みって奴か。
「無視っすか!?せめて反応してくださいよー」
まだ騒いでたのか。そう思いつつ小さくため息を零してから額に軽くキスをして、逃げるように休憩室へと向かう。顔が火照っているのが解る。
「……んっ!?」
ふいに後ろから引っ張られる。文句を言おうとした口は塞がれる。
「俺、知ってるんすよ?アンタがキスしたいってことくらい」
――――俺も、知ってる。きっと敵わないってことくらい。