天秤とあたし

□参話
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氷河の国の下には大きな川が流れている。きっと、飛影はこの川の流れに乗って下流の方に流されたのだろう。





私はその川を下流に向かって走った。だいぶした頃、飛影が体に巻いていた呪布が枝に引っ掛かっているのを見つけた。





確か、盗賊に拾われたんでしたっけ…




呪布があるということはここで拾われたんでしょうか…?





こんなことなら、もっと早くに出るべきでした…






私は集中して飛影の妖気を捜す。微かに残る妖気を頼りに、私は先へと足を進めた。

















「お頭ー!見てくだせェ!川から流れて来たんでさァ」




「…なんだぁ!?この汚ねェガキは!」





「それが、見て下せェ」






下っぱが指差す方には氷泪石のネックレスが握られていた。





「こいつは…!」




お頭と呼ばれた妖怪は飛影が握っている物が氷泪石だと気付き、無理矢理奪おうとする。




だが、飛影はしっかりとそれを握り締め離そうとしない。最終的には相手の指を噛み、薄く笑った。




「このガキィ!」






手をあげようとした時、刹菜が息切れをしながら茂みから姿を現した。





それに気付いた盗賊達は、警戒しながら武器を構えた。






「ナンだぁ、テメェは」





私は息を整えて、ゆっくりと口を開いた。




『その子を返してください』






そう言うと、盗賊達は一斉に笑いだした。





…何がおかしいんですか?
てか、あんたら馬鹿ですか?私の力を測れないなんて…
適わないって、判らないんでしょうか?






「盗賊がそう易々と言うことを聞くと思ってんのか?」





一匹の妖怪がそう言いながら笑う。




『……だったら、奪いますよ?』





そうすればおあいこでしょ?と首をかしげながらそう言って、妖気とオーラを開放する。





といっても、半分も出してませんが。盗賊達は私の妖気とオーラにあたり、気を失う奴、怯えだす奴がいた。





なんて弱いんでしょうか。私は妖気とオーラをしまい、もう一度問い掛ける。






『返してもらえますか?』





満面の笑みを見せれば盗賊達の顔が一気に青くなり、飛影を私に投げつけ逃げていった。






『わわっ!』





飛影を両腕で受け止める。あいつら、飛影を投げるなんて!今度会ったら半殺し決定です!





『はぁ…。飛影、大丈夫ですか?』




腕の中にいる飛影を優しく撫でながら話し掛ける。
その大きな目が私をじっと見つめる。





や、そんなに見つめられたら恥ずかしいじゃないですか。





『ふふ、やっと見つけました!もう一人になんかしませんよ!』





逃がさんとばかりに飛影を抱き締める。




























飛影、あなたは今何を思い、何を感じているんですか?




実は余計なお世話…とか思ってたりして。
ふふ、そんな事思ったって無駄ですよ?私があなたを離したりしませんから。
























私が今何を思っているかって?
そんなの決まってるじゃないですか。


















―――――愛しい












只、それだけですよ。






2011.03月26日 08:03
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