天秤とあたし

□弐話
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今日はお母さんと魔界へ来ています。勿論、お母さんの好きな人に会うためです!!



あー、きっと格好いいんだろうなぁ…何たって飛影のお父さんですから!




『お母さん、その人ってどんな人なんですか?』




隣を歩くお母さんは、頬を紅く染め、照れ臭そうに口を開いた。



「えっと……ぶっきらぼうだけど、とても優しくて、強い瞳をした人よ」



嬉しそうに話すお母さん。あぁ、私まで幸せな気分になってきました。



お母さんの幸せは私の幸せですから!



『ベタぼれですねェ』




からかうようにそう言えば、本当に…と言ってさらに頬っぺを紅くした。



っ!なんて可愛らしいんだ!!こんなのを見たら、相手なんてイチコロですよ!


絶対向こうは一目惚れですね。




「刹菜にも何時かこんな日が来るのかしら」



『……いえいえ、私にはお母さんが居れば十分です。それに、もう護りたい人は決まってますので…』




「あら、そうなの?」




『はい!まずはお母さん!それと、私の姉弟です!』



「え……」




姉弟という言葉を聞き、お母さんはボッと顔を紅くした。


いや、頬っぺたが紅く…なんてもんじゃなくて、真っ赤っかに。



あらあら、お母さんは一体何を思ったんですかねぇ?


ふふ。まぁ、判りますけどね。



「……」



お母さんは余程恥ずかしかったのか、黙ったまま隣を歩いていく。



…こんな様子じゃ、その人に逢っただけでこうなるんですかねぇ…



ふふ!早く着いてほしいものです!




『ん…?』




いきなり目の前に人が現れた。…って、この人もしかして!




お母さんを見ると、嬉しそうに微笑んでいる。あぁ、やっぱり。









この人が、飛影のお父さんなんですね。




「……こっちは誰だ?」




私を見ながらお母さんに尋ねる。




その人は、黒と赤を基調とした服を着て、飛影よりはきつくないが目がつりあがっている。



瞳の色は…紅。
飛影と同じ色をしています。




どことなく飛影に似ているこの人。




「前に話した、私の娘です」



『刹菜です。母がお世話になってます』



「…オレは紀流(キリュウ)だ」


自己紹介をすれば、ぶっきら棒に一言だけ、名前を口にしてくれた。




紀流さん…ですか。



性格まで飛影にそっくりですね。あ、違いますね、飛影が紀流さんに似てるんですよね。




私と紀流さんのやり取りを微笑ましそうに眺めるお母さん。



それに気付いた紀流さんは目を逸らし、少しだけ頬を紅くした。




こちらもベタぼれですね。微笑ましい限りです。



二人、幸せになってほしいです…










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