陽だまりの心
□微睡んだ
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起きると見慣れない薄ピンク色の天井が目に入ってきた。
一瞬ここがどこだか分からなくて周りを破壊するところだった。
つまりそう。僕は、夢を見ていたんじゃなくて本当に異世界に来てしまったんだ。
…笑い話には、できそうにない。
『……夢なら良かった』
ぽつり、呟いた言葉は誰の耳に入ることなく、ただ虚しく部屋に響いた。
いつもならちょっと汚いホームの天井が一番はじめに見えて、パクとかマチとかが僕を起こしに来てくれてさ。
それで、おはようって挨拶して、ご飯食べて。たった一人、全然違う世界に僕だけ置いていかれた。そんな気持ちになってしまった。
……………蜘蛛が、恋しい。
ちらりと時計を見れば今は朝の六時。いつもより早く起きてしまったようだ。まあそんな日もあるかと思いながらベットから降りて顔を洗いに行く。
洗面台の前に備え付けられた鏡に映った自分と目が合って、苛々した。なんなんだこのふざけた顔は。情けないにも程がある。
無性に苛々する。僕は勢い良く蛇口をひねり、大量の水を出して顔を洗った。
ゴポゴポといって流れていく水。髪を上げるのを忘れていたので、薄紫の髪から水滴がしたたり落ちてきた。
『………………』
こんなこと言ったらアレだが、なんか更に虚しくなってしまった。
僕は近くに掛けてあったタオルをわしずかんて乱暴に顔を拭いた。
その後、昨日濯って干しておいた服に着替えて重い足取りで下の階へ降りた。
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